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はにかむバルテュス

Lyrics and Music by Utaro
Produced and All Instruments,Vocal Performed by Utaro
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いびつであどけない鏡の国のアリス 

 
 20世紀最後の巨匠=画家バルテュスの年譜を読んでみると、少年時代は戦争と両親の別居のために、移住、移住、移住といった具合にフランスからドイツ、スイスなどと断続的に環境が変わり、常に心理的な不穏な日々が続いていたことが窺える。
 子供は、大人達の勝手な都合によって、いつも、振り回される――。子供は、気の毒な生き物だ。
 
 そんなバルテュスも大人になるにつれて、自分の描く画の中に、いや、そもそもその画の対象物として、ほとんど子供(多くは少女)を描くようになった。
 熟したゆで卵が大人だとすれば、子供というのは《半熟》のゆで卵である。バルテュスは常に画に対して熟し切っていないもの、つまり《半熟》を求めた、ことになる。
 バルテュスの画はどこか《半熟》の気配が漂う。カラヴァッジョのような徹底したリアリズムを追わない、どこか不穏な、いびつな、不均等な、東洋芸術の軽やかさを含んだ、視線を惑わす画である。
 
 そういうバルテュスの画が好きで、私は書物を通じて、よくバルテュスの画を眺める。無謀を承知で、120秒ほどの歌を作ってみた。
 
 少年バルテュスが笑いながら踊り、さも猫と戯れているような姿を思い浮かべていただけたら、それだけで充分である。シンセ・パッドの音に含まれるコツ、コツ、コツとまるで時計を刻むかのような音を活用したのは偶然の産物であるにせよ、バルテュスの少年期における、戦争と移住の遍歴をまたたく間に刻み込んだ《時間》=負のリズムへの象徴ととらえていいかもしれない。

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