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Butoh Project

肖像

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 死へのステップ―明と暗のプロローグとして



 舞踏とは何か、音楽とは何か。その問いかけを模索するべく、リズミカルな、あるいはエロティシズムをかすめながらの実験主義的なミュージック・コンクレートへの旅を始めた【舞踏のための音楽プロジェクト】。これを推し進める前に、どうしてもそのプロローグとして語っておかなければならない作品がある。「肖像」である。

§

 「肖像」は、私が2015年1月に着手した、大正期の日本の洋画家・中村彝(つね)の生涯をモチーフにした暗黒舞踏的ダンスのためのピアノ・ソロであり、私はこれを《死へのステップ》と呼んでいる。
 ここに一人の青年芸術家がいたと仮定してみてほしい。絵を描くことが、彼のすべてであった。しかし彼は肺結核を患っていた。描くことが生きる幸せであると同時に、身体を蝕む時限爆弾にもなっていた。旅をして風景を描くこともままならず、せいぜいできるのは、病床に据え置かれたキャンパスと画材で、室内の静物や時折訪れる人々の肖像画を描くことだった。それも体力を失う作業であり、彼にとって人生に流れる時間とは、床に伏せることと絵を描くこと以外何もなかったのである。

 青年は、息を切らしながら、鏡の前に立つ。粗く乱れた黒髪。げっそりと痩せた頬の無精髭。そして小さな身体――どれほど細く小さくとも胸を打つ心臓のリズム。もしも彼が鏡の前で自らを見つめ、その消え失せそうな命を振り絞って幸福のために踊るのだとすれば、こんなちっぽけな、弱々しい地団駄のステップになったのではないか。「肖像」。右足を踏み、左足を踏み、ゆるく肩を左右に揺さぶりながら、時に精一杯の力を足に込めて、舞踏する。鏡に映った不格好な自分の身体を確認しながらの、無色透明なる命懸けの舞踏。

 「踏」という字を白川静の『常用字解』で調べてみた。沓は水と曰(エツ)とを組み合わせた形で、曰は神への祝詞を入れた器を表し、沓はこれに水をかけ器を汚して祈りの効力を無くす意とのこと。「踏む」というのは、古くは地霊を鎮めるためのまじないの行為であり、中国には足で踏む種々の民俗があったという。

 芸術家青年の地団駄は、生きるものとしての喜びのダンスであり、その基礎的なダンスは皮肉にも死への扉=《死へのステップ》であった。だとすればこの世のすべてのダンス(舞踏)は、自らの死の影を背負った身体表現であると言っても過言ではなかろう。

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