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CHIBUSA

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「女体」からのインスピレーション



 ふと思い出したように高校時代の国語教科書を手に取って眺めた。パラパラとページをめくっていると、そこに芥川龍之介の「羅生門」があった。

 私にとって「羅生門」は、ほとんど忌まわしい記憶しかなく、読書としての“食わず嫌い”小説であった。何か自分が通暁し得ない身体の異常を感じるように、それをことさら嫌悪した。授業で仕方なく読む、読まされるといったことの反復が続き、反吐が出そうになった。
 何故そこまで自分が「羅生門」を嫌悪したのか、今となってはまったく理由が分からないのだが、思春特有の倦怠感、あるいは精神的にやや遅れてやってきた反抗期が、それをそうさせたのか。詰まるところそれぐらいの理由しか思いつかない。ともかく、例えば吉野弘の「I was born」や漱石の「こころ」、柳田国男の「清光館哀史」などは逆にひどく夢中になり、それらを飽きるまで貪り読んだが、中島敦の猛々しい文体の「山月記」以上に、芥川の「羅生門」は、私には読み堪えられなかったのである。

 あれから数十年。なんてことはない、私にとって芥川龍之介という作家は、“食わず嫌い”の小説家ではなくなった。無理に理解してやろうということではなく、つかえていた小骨が取れて、飲み込むことに抵抗感が消えた。不思議な感覚である。

 「女体」。
 いま私は、芥川龍之介の「女体」にほとばしる、汗と体臭の充満を感じ想像しながら、神秘なるこの短篇にうずくまる。長い時間、うずくまる。そうしてあっけなく数日が過ぎる。
 どこからか、音が聴こえてくる――。まさに夏の蒸し暑い夜、うつ伏せになってこれを読む時、私も、《彼》の如く寝床を這うのだ。

 こうして、「女体」からのinspirationが頭の中を駆け巡り、音響への転換が始まった。

《彼の行く手には、一座の高い山があつた。それが又自らな円みを暖く抱いて、眼のとどかない上の方から、眼の先の寝床の上まで、大きな鍾乳石のやうに垂れ下がつてゐる。その寝床についてゐる部分は、中に火気を蔵してゐるかと思ふ程、うす赤い柘榴の実の形を造つてゐるが――(略)》

 女は寝たままである。男の凝視に気づかぬまま、ただひたすら、うっすらと鼾を掻いて乳房を垂らしている。
 読書と現実と音楽とが、真夏の連夜に交差する。私は涼しげに《優雅》を思った。

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