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Ryu

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最終回―OP-1が果たしてくれた実験的試みの意味 

 
 Ryuとは芥川龍之介のことである。たまたま短篇『蜜柑』を読んでいて、パッションが高まった。そのクールな風貌、鋭さを感じる眼、作品の飄々とした雰囲気を掴んで、サウンドとしてデフォルメしてみた。
 あながち、荒唐無稽なイメージでもないだろう。写真で見る芥川龍之介という人の独特な佇まいは、何かしらインスピレーションを誘発する不思議な魅力を孕んでいる。彼の作品を読むと、しばらく余韻が残って河童が頭の中で踊っていたりするから奇々怪々である。すべての作品がどこか奇々怪々としていてとらえどころがなく、現実感が薄い。現実とは何か、空想とは何か、書いた芥川自身も訳が分からなかったのではないか。
 
 「OP-1を使ったサウンド・インスタレーション」では、どの作品においても、事前のアイデアの組み入れということをしていない。即興的にどれか一つ音色を選び、あるいはシンセのエディットで波形をいじってみて、そこから沸き立つものを信じ、さらに音を加えていきながらリズムやフレーズを時間軸に記録していく。
 故に、OP-1でしかできないサウンドが生まれる。もう一度やり直そうと思っても不可能な偶然的な産物になることもある。
 
 もっと抽象的な、自然界の雨とか風とか、虫とか魚とか、そういうものに寄り添ってインスピレーションを得ても良かったのではないかと、今回の企画を終えてから反省することがある。また、真の意味での“インスタレーション”に発展できていない点も猛省したい。
 約1年を通じて「OP-1を使ったサウンド・インスタレーション」を実際に経験してみて、サウンドに関する新たなフェーズへ、別の世界の入口が見えてきたことは確かだ。このことは非常に意義深い。リズムはどう生まれるのか、どう音と音は重なるのか、の実験的な試みでもあったが、OP-1がそれを私に教えてくれたのである。


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