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ふじの山

Songs authorized by the Ministry of Education
Produced and Performed by Utaro
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小学3年生の私



 カスタネット、タンバリン、大太鼓に小太鼓、トライアングル、ハーモニカ、オルガン、リコーダー、シロフォン、鍵盤ハーモニカ…。小学校の音楽の授業で登場し、演奏したことがある楽器は、ざっとこんなものであろうか。たまにエレクトーンやグロッケンシュピールをいじったりしたが、興味があったというわけではなかった。

筑波山でのスナップ 小学校時代のアルバムを開いてみると、3年生で茨城県の筑波山に行った際の、昼食のスナップがあった。ゆるりと回転する展望レストランのテーブルを囲んだ6人衆のスナップ。カメラを向けられてピースサインで応える。思い起こせば、このうちの1人はすぐに転校してしまい、1人は2年後に転校し、他の2人は高校まで一緒になり、もう1人は成人する直前に一度出会ったが程なくして結婚し、早くも子供をもうけた。その後は知らない。それぞれの人生の思惑は、常に流転の渦中にある。

 小学3年で初めてリコーダーを手にし、習った。さして思い出はない。いや、真っ赤な防音壁の音楽室で、“笛のテスト”というのをやらされた記憶がある。文部省唱歌「ふじの山」を笛で吹き、その演奏力に採点を付けられるのだ。前日になって焦って猛特訓するのだが、当日は音楽室で待ち受けた女先生の面前でそれを独奏しなければならず、テストが始まるやいなや、私は緊張で硬直し、前日の猛特訓などどこかへ吹っ飛んでしまった。

 こうしてその後、何かの折に、「ふじの山」の曲をどこかで耳にしたりすると、歌の懐かしさよりも、あの時の笛の音色が強引に聴こえてくるようで、女先生の怒顔を思い出し、背中がつい伸びてしまうのである。

 Pro Toolsを使ってリコーダーを吹いて録るなど、今まで考えもしなかったことだが、そうした懐かしい筑波山での思い出のスナップと、あの頃の楽しかった音楽の授業、そして記憶の中のリコーダーの音色とが不思議と合致して、何故かときめくものを感じ、今、恥も外聞もなく「ふじの山」を吹いてみようと思い立った。

 9月の上旬。富士には似つかわしくない厳しい残暑の中での笛との格闘。
 曲の叙情もへったくれもない。
 なんとか間違えずに吹き終えるのが精一杯で、指が震える。頭の中に富士山の残影すらない。

懐かしいリコーダー これがあの時の“笛のテスト”なら、50点に満たないのではないか。女先生のダメ出しが聞こえてくる。
「Utaroくん、大人になってもまだ吹けないの? ダメじゃないの」
「はい先生。指が震えてしまうんです」
「練習不足なのよ。しっかりおやりなさい」

汗を垂らし、震える指を押さえながら、冷たいコーヒーで一服。そうして落ち着いた後、録り終えたリコーダーの音色をおそるおそる聴いてみた。
 それは、小学3年生の自分であった。スチルカメラの前で条件反射的にピースサインをしていた無邪気な頃の、ありのままの、自分。女先生の前で緊張をしながら吹いていた自分の音色。

 そう思った途端に、何か心がうきうきとしてきて、〈自分は小学3年生だ!〉と、無邪気に喜んでしまった。
「よし、明日は学校へ行くぞ」

 あいつらとは、この写真の中で出会える。ピース。

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