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コラム/
WURM STUDIOという作業場①

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 千代田学園に在籍していた90年代初め、そのレコーディング実習用のスタジオがなんとも心地良かった。スタジオ前の廊下に辿り着くと、必ず何か音が鳴っていて、自分らが中へ入る時間を密かに心待ちしたりしたものだ。
 Rey Audioのスピーカーからとびきりビートの利いた低音が唸っていた。身体を伝わってその振動が記憶に残る。卒業アルバムとして完成したCDには、その太さが伝わってこない。そして数年後、このスタジオは解体され、跡形もなく消えてしまった――。

 知らぬ間に、そのスタジオで学んだすべての光景は、私の記憶の中で熟成された《観念》となっていった。

 一方、90年代後半、自宅スタジオに据えられたいくつかのデジタル・レコーディング用の機材は、とてもそうした《観念》を想起しうるものではなく、作曲のアイデアをいち早く具現化できる代物ではなかった。
 デモ用と諦めればそれに越したことはなかったが、ペラペラとしたリズムマシンのバスドラ音源に外部エフェクターのコンプをかけようにも、インサーション端子がないというお粗末さである。せいぜい16ほどの限られたトラック数、2系統のAUX、あとは内部エフェクターを頼るのみだが、これもまた音が陳腐で使い勝手が悪かった。

 それからだいぶ経って、Pro Toolsのリミテッド・エディションでそのサウンドの良さと使い勝手の良さを確認して、東日本大震災が起きた。積まれた機材がガラガラと崩れてしまった。ここぞとばかりに、私は自宅スタジオのリニューアルを決めた。

*

 愛称として自宅スタジオを“WURM STUDIO”(ヴュルム・スタジオ)と命名した。

 Pro ToolsでSSL 4000のプラグインをインサートする時、あの実習スタジオのSL4040Eを想起させてくれる。他にもEMI TGのモノEQ、LEXICONのリバーブ、アナログテープのサウンドを再現するいくつかのプラグイン、ヴィンテージ・エキサイター、そして名機MU-R201の実機。

 音を野太く、クリアに録るためのシステム。WURM STUDIOで、あの実習スタジオの《観念》が息づく。紛れもなく、大好きな作業場となった。

〈了〉
(2012.04.05)

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