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実験コーナー/
授業の始まり?



 私にとっての10代後半から20代前半(1980年代後半から90年代前半)にかけて慣れ親しんだリバーブ・マシーン、SONYの「MU-R201」の入手により、そうした時代の皮膚感覚を呼び起こす一つの材料として加担し、目眩く創造を増大させた。

 Pro Toolsプラグインに並ぶ、エフェクターとしての秘策?
 新古典主義的な発想で音源を包み込む?
 あるいは単なる自己満足?
 そうして創造の背後に忍び寄る、違った意味での「不穏」を感じた。
 「MU-R201」がPro Toolsを嫌っている、と――。

 最初こそ私は苦笑いで済まそうとしたが、次第にその「不穏」が身体の能動を減速させているように感じられた。

*

 定時を刻む近所の学校のチャイムが聞こえてくる前に、私は想像するチャイムのメロディーをチューブベルで演奏した。わずか40秒の演奏。
 残響の無いその少しばかり無機質なサウンドに、文字通り残響を加えるべく、「MU-R201」にAUXバスを送った。しかし。
 私はこの瞬間、何かを悟った。それはつまり、「MU-R201」の苦痛の叫びのようなもの。Pro Tools内部から送られるバスに対する拒否。

 いやだね、というふくれっ面をした主の声。
 音楽とはなり得ない苦痛がもしそこにあるのなら、私はこの手段を即刻やめなければならないのだ。

 無意識の反動で次の瞬間、私はバスの送り先をチェンジした。Pro Tools内のLEXICONリバーブプラグイン。大袈裟なベルのサウンドに対し、ホール系のカテドラルを模したリバーブを付加した。
 荘厳なる音響が耳を劈いた。そう、こうでなければならない。こうあるべきだ。「MU-R201」はPro Toolsに寄り添うべきではない、昔気質の孤高であるべきなのだ。

 ヤワなサウンドといえばそうであるが、今度いつか、若き頃に馴染んだカセットテープMTRに「MU-R201」を繋ぎ合わせ、4トラックのそのヤワなサウンドに、めっぽう高貴なリバーブを添えてやろう。“彼”が目を丸くして喜ぶに違いない。LEXICONなどクソ食らえだ、という声が聞こえてくる。そうした“彼”とその仲間達のアンサンブルを、どうにかこうにかして、Pro Toolsに流し込んでスレーヴがわりにしようじゃないか、ということで宥めた。

 チャイムが鳴り響く。授業はこうして、始まった。

〈了〉
(2011.11.16)

レコーディング実験

▼曲目「チャイム」 (作曲者不明)
ベル(ソフトウェア音源)の演奏者:Utaro

■レコーディング及びミキシングは24bit/96kHz。
■LEXICONのプラグインリバーブ(大聖堂プリセット)を付加。音圧上げ無し。
■マスターファイルを16bit/48kHzにダウンコンバートし、mp3ファイルを生成。

LinkIconsamplechime.mp3