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マイクロフォンの話⑥
 

落語マイクとも言いたい

 

SONY C-38B
■SONY C-38B
・形式:コンデンサー型
・指向特性:単一/無指向
・再生周波数帯域:30Hz-16kHz
・出力インピーダンス:250Ω
・感度(0dB=1V/1Pa、1kHz):-68dB
・質量:650g

 
 現行品と言えど、仕様は昔と今とで多少違うところがある。SONYのホームページでは、“業務用オーディオ”というカテゴリーに括られる、このC-38Bは、SONYの最もポピュラーかつ“国産至宝”の開発製品の一つであるにもかかわらず、極めて地味な扱いで、もしかするとメーカー・サイドの方こそ、このマイクロフォンの価値を忘れかけているのではないか、と勘ぐりたくなる。
 
 ネット動画で、三代目桂米朝の落語を聴いてみた。無論、SONY C-38Bが使用されたテレビ中継。感度が良く、米朝の話芸が自然に滑らかに現出されている。“漫才マイク”と称されてはいるが、落語の雰囲気や味わいを、茶の間に届けるための名脇役であるのだ。
 
 変わって、古い昭和時代の歌謡ショーの動画を観てみた。演歌歌手が手を塞がれずにパフォーマンスするということは、逆に堂々たる演技と見栄が必要で、落語や漫才でこのマイクロフォンが使用されている時の印象とは、やや違った受け取り方になってしまう。
 
 先ほど米朝の落語で使用されたC-38Bには、このマイクロフォンのデザインの特徴でもある“SONY ”のロゴが、あらかじめテープを貼られ、見えないようになっていた。スポンサー以外の社名を番組中放送することはタブーだからだ。
 
 その点もっと昔はずぼらであったかと言えばそうでもなく、先の昭和時代の歌謡ショーでもマイクにはしっかりテープが貼られていた。そもそも、あれほど大きなロゴを、何故業務用マイクロフォンの最も目立つ位置に刻んだのか、謎と言えば謎である。このマイクが使われるたびにテープが貼られているのを目撃すると、滑稽にさえ思われる。
 
 しかしそうだとしても、“国産至宝”の逸品であることに変わりないのだ。

〈了〉
(2013.03.31)

§ Equipments Column


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