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私が使い続けているDAW―Pro Tools

 2007年にPro Tools(当時はPro Tools 7 LE)を導入して以来、ずっとこのDAWを使い続けている。
 80年代後半からずっとカセットテープ式MTRを扱ってきて、ハードディスクでのマルチ・トラック・デジタル・レコーダーへと転換したのは、90年代後半になってからで、安価な民生機だったため、A/Dやら外部入力数の少なさに不満を感じていた。何より、デジタルなのに音がしょぼかった。
 そうした不満を解消してくれたのが、Pro Toolsだった。アナログ・ミキサーに近い拡張性を持ち、インター・フェースとのやりとりにおいても安定感があった。プラグインを駆使することで、サウンドのクオリティを担保しながらも柔軟にクリエイトすることができた。

Pro Toolsを使う最大のメリットはなにか?

 64bit CPU&OSに初めて対応したPro Tools 11では、刷新されたダイナミック・プロセッシング機能とプラグイン・テクノロジーによって、演算処理の効率化が図られている。サウンド・クオリティを落とすことなく実時間を大幅に下回るオフライン・バウンスが可能で、バッファーの独立化によってバッファー・アンダーラン・エラーによる突発的な停止がかなり改善された。プロセッシング機能以外の部分でも、メーター部の改良やオートメーションの書き込みがレコーディング中でも行えるようになったりと、こまかい機能が改善されている。

 こうした刷新で何が変わってくるのか? 作業の中でどんなメリットがあるのか?

1.バッファーのエラーがなくなり、低レイテンシーで録音できる

 これまで、Pro Toolsを扱う上で、最も悩まされてきたのが、「バッファー・アンダーラン・エラー」だった。確かに、レコーディングの際はバッファー値を下げ、ミキシング以降の作業ではプラグインによる負荷がかかるため、バッファー値を上げてエラーを極力抑えてはいた。
 しかし、ミキシングの段階から予期せぬことでレコーディングを再開することもあるわけで、プラグインをその都度外すという点で非常に効率が悪かった。また、負荷を軽減させた最適な状態であったとしても、「エラーによる停止」が少なからず発生し、レコーディングにおけるパフォーマンスの大きな妨げとなっていた(OKテイクとしたいパフォーマンスが、「エラーによる停止」で台無しになってしまうというのは大変なストレスとなった)。

 Pro Tools 11では、インプット・バッファーとプレイング・バッファーが独立したため、低レイテンシーでのレコーディングを行いつつも、プラグインによる負荷を気にする必要がなくなった。仮にプラグインを付けた状態でレコーディングを再開しても、エラーはほとんど発生しなくなった。
 効率の点から言っても都合が良く、プラグインを付けた状態であるから、レコーディングが済めば再生音はミキシング時での再生音となる。

2.メーターがすべての作業を制する

RMSメーターによる表示 レコーディングにおいてもミキシングにおいても、それらの音をまとめ上げるには、メーターにおける管理が重要である。ピーク・メーターのみでは不十分であるから、わざわざプラグインとしてアナログ表示のメーターすなわちVUメーターを付け足して、サウンドの状態を監視していたのだが、Pro Tools 11で各種メーターを切り替えることができるようになり、例えば録音時ではピーク・メーター、再生時はRMSメーターといったように、必要に応じてピーク値や平均値を監視することができる。
 尚、Pro Tools 11では、フェーダーとメーターが拡張され、より厳密な値を表示することができる。これによってレコーディングのレベル管理も厳密化され、サウンド・クオリティの一助となろう。さらに、センド部のミニ・フェーダー拡張表示は有り難い機能だ。



3.同時録音による作業の効率化

 先に述べた「バッファー・アンダーラン・エラー」の問題に絡むが、64bit化によるプロセッシング機能の向上によって、これまで非常に負荷のかかっていたプラグイン音源のWAVファイル化といったレコーディングも、単一ではなく複数で同時に行えるようになった。これは圧倒的な作業の効率改善となる。

4.オフライン・バウンスの実現

 AAXプラグインの64bit化で最も効果を上げているのは、実時間を大幅に下回るオフライン・バウンス機能であろう。この機能で一番心配になる、実時間バウンスとのクオリティの差だ。どうやらこの心配は杞憂のようで、そのクオリティに差はないらしい。となれば、違うミキシングでのマスター・ファイル化であるとか、各パート毎のバウンス、あるいは長尺作品のバウンスなど、作業時間の短縮が可能になる。

Pro Toolsにおけるプラグインの定義とは?

Pro Tools 11の高品位なチャンネル・ストリップ(右) Pro Toolsを、単純にマルチ・トラック・レコーダー代わりに使う人にとっては、プラグインはさほど重要ではないかも知れない。しかし主眼を変えて、ミキサー卓の役割を与えた瞬間から、Pro Toolsにおけるプラグインに対し、まるで考えもしなかった価値に気づくはずだ。
 例えばウン十万円する実機のコンプレッサーを2台所有していたとしよう。この場合、2つのパートを同時に使用できるが、それ以上のパートにそのコンプレッサーを使うためには、パート毎にかけ録りをしなくてはならない。ところが、その実機をシミュレートしたプラグインを利用すれば、かけ録りせずともすべてのパートにインサートすることができる。
 実機は少なからず個体差があり、部品も老朽化する。その点、プラグインはコスト・パフォーマンスに優れている。S/Nで悩まされることもない。Pro Tools 11に至っては、プロセッシング機能の向上により、負荷をほとんど気にせずにプラグインを利用することができるようになった。

 ミキシングの作業を考慮した時、最低限でも高品位なEQ、コンプレッサー、リバーブは1セット揃えておくべきだ。これらの組み合わせによって、サウンドのデザインは大きく変わり、言わば独自のミキサー卓を構築することができる。
同じDAW=Pro Toolsを使用していながらも、所有するプラグインによって、そのサウンドはまったく異なる。これらは単なるエフェクトの挿物といった概念を超越して、サウンドを劇的に作りかえてしまう「魔法の領域」である。音楽はこの領域の中でこそ生まれる。

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