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マイクロフォンの話⑫
 

なんとなく、しあわせ―RODE NT1初期型

 

RODE NT1
■RODE NT1初期型
・形式:コンデンサー型
・指向特性:カーディオイド
・再生周波数帯域:20Hz-20kHz
・出力インピーダンス:100Ω
・感度:-29.0dB re 1V/Pa (35.00mV @ 94 dB SPL)
・質量:440g

 
 現行のRODE NT1-Aが初期型のこのNT1とどれほどつくりが違うのかについて、私は前者を試したことがないので、比較評価のしようがない。しかしこのNT1初期型は、コストパフォーマンスに優れていて、初心者がコンデンサー型マイクロフォンを最初に試してみようとする際、非常にそのサウンドの出方が分かり易かったのである。何はともあれこのマイクロフォンは、私がAKG C-451Eを使うのをやめ、ヴォーカル用として90年代半ばから使い始めたマイクロフォンであった。
 
 同じ頃、マイクプリにART TUBE MPを使っていて、こちらも初心者に分かり易い真空管ならではの暖かみのあるサウンドで、NT1との組み合わせで重宝していた。とにかくEQのいらない、それなりに分厚い音。かつ高域がシャリシャリとした音になって、無味乾燥だった当時の民生用デジタルMTRとのサウンド的なバランスを保つことができた。
 無論、そのサウンドを他の高価なマイクロフォンと比較してはならない。あくまで初心者が楽しむためのもの。コンデンサー型マイクロフォンの特性はだいたいこんな感じですよ、ということを安い値段で実地体験できる代物。かといって無茶苦茶酷いサウンドではないので、今でもマイナーチェンジしたNT1-Aは人気がある。
 
 残念ながら、質の落ちるケーブルやマイクプリを使えば、どんなマイクロフォンであっても質は下がる。生録の肝は、マイクだけで決まるのではなく、入力から出力までの一本の「線」なのだ。この「線」をいかに良くするか。この部分を丹念にチューニングすることで、生録の質は高まり、サウンドを変えることができる。
 私にとってRODE NT1は、懐かしい思い出の詰まったマイクロフォンだ。かつては大事なパートナーであった。なんとなく、なんとなく。しあわせ。粗末に扱ってはならない。

〈了〉
(2014.02.20)

§ Equipments Column


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