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コラム/
身体とRのインヴェンション

  

土方巽の身体を《音》にする  

生成で使用した中谷氏撮影の土方巽画像

 私が2015年より進めてきた「舞踏のための音楽プロジェクト」というのは、ベルリンの女性アーティスト、サシャ・ヴァルツが創造する知覚的な身体パフォーマンスであったり、麿赤兒率いる大駱駝艦のような、集団によるエネルギッシュな舞踏であったりと、そういう舞台をイメージしたものであった。
 森羅万象の陰と陽の法則のうち、陰の舞踏を編み出したのが、暗黒舞踏の土方巽(ひじかたたつみ)である。それは、古今東西のそれぞれ伝統的な陽のダンスに対する、陰であり負の舞踏である。どうしても私の頭の中に陰の舞踏、つまり土方巽がちらついて離れない。消えない。いっそのこと、土方の魂=亡霊に取り憑いてもらって、直接的な楽曲を構築できないものかと頭を抱え込んでもみた。
 2016年の4月、グラフィック画像を音に変換するソフトウェアを知り、試行錯誤を重ねていた。そうして私はこのソフトウェアを使って、「土方巽の身体」をそっくりそのまま音に変換することを思いついた。2016年11月に完成した楽曲「Romanesque」は、その暗黒舞踏の創始者・土方巽の“身体”を部分的に咀嚼して構成した、オマージュ曲である。無論、この「Romanesque」には、あの世にいる土方巽に“この曲で踊ってもらいたい”という願いが込められている。
 

グラフィック画像をMIDIに変換

RGB MusicLabでMIDIファイルを生成

 使用したソフトウェアは、Kenji Kojimaの「RGB MusicLab」である。このソフトウェアは、画像のピクセルの三原色(赤、緑、青)の数値(0~255)をそれぞれ音階に割り当て、MIDI変換する仕組みで、基本的な設定ではこの三原色の数値が三和音に相応する。
 通常の画像のままでは、ピクセルの解像度が高く、膨大な尺のMIDIデータとなってしまう。そこで、あらかじめピクセルの解像度を大幅に落とし、変換する必要がある。
 
 用意したのは、土方巽の“生写真”である。幸い、心泉社が2003年に出版した中谷忠雄写真集『土方巽の舞踏世界』には、初回限定のオリジナル・プリント(1968年中谷氏撮影)が付いていた。この土方巽の身体が写ったオリジナル・プリントをデジタル・スキャンし、JPEGの画像ファイルを元にして、「RGB MusicLab」解像度や音色その他を調整し、MIDIファイルを生成した。
 この生成したMIDIファイルは全3パートで十数分に及ぶデータになっていたので、「Romanesque」で実際に使用したのはそのうちの1パートで、全体の尺から一部分のフレーズを選んでオーディオ・クリップ化した。このページの下に、その大本となったMIDIファイルを設置したので、是非試聴していただきたい。かなり冗長で決して聴き易いたぐいのものではないが、「土方巽の身体」の画像から生成された音であることは確かである。(※「Romanesque」の前半部分の制作においては、さらにこの土方巽画像の色調違いの2ヴァージョンを生成し、オリジナル色調と合わせて全3ヴァージョンから適当なフレーズをカッティングし、それぞれ別の音源を割り当てている。)

〈了〉
(2016.11.15)

RGB MusicLabによる“土方巽”画像を音に変換したMIDIファイル

▼MIDIファイル:実際に「Romanesque」で部分使用した大本のMIDIファイル

■これはRGB MusicLabで生成したダイレクトのMIDIファイルである。
■「Romanesque」では、Pro Tools上でこのデータの一部分をカッティングし、ピアノ音源を鳴らした。

hijikata.mid

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2016.11.17

画像を音にした「Romanesque」

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