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マイクロフォンの話⑰特別編
 

Aston Origin―堅牢かつ斬新

 

Aston Origin
■Aston Origin
・形式:コンデンサー型
・指向特性:カーディオイド
・再生周波数帯域:20Hz-20kHz
・出力インピーダンス:200Ω
・感度:-32.5dB (0dB=1V/Pa 1000Hz)
・質量:450g

 
 いかついでしょう。プロダクトというより、まるで工場の一部を形成しているあちらこちらに剥き出された建築用パイプを見るかのように、Aston Originというプロダクトは、特異な存在感を醸し出している。いかつい。
 このいかつい形状の理由は、こうなのだとメーカーは喧伝する。つまり、「タンブル加工で研磨された胴体」は傷に強いらしく、「波形形状のメッシュヘッド」はマイク・カプセルを衝撃から守り、ぶつけても元の状態に戻せるのだという。じゃあぶつけてみよう――という気にはさすがになれないが、スタジオもしくはPAのスタッフが若干の荒くれ者で、マイクロフォンを卓にぶつけちゃった、くらいのことでは、へこたれないらしい。そしてヴォーカリストにとっては、このメッシュの部分が既にポップ・フィルターと同じ効果をもたらしてくれるので、女性のストッキングを輪っかに被したような、あの邪魔くささ満点のポップ・フィルターをいちいちセッティングしなくても良い、ということになる。これは素晴らしい。
 
 素晴らしいのは外回りの形状だけではない。そのサウンドもまた素晴らしいのである。コンデンサー型マイクロフォンのクリアなサウンドというのは、とかくタイトでドライな場合が多いのだが、このAston Originは、そこに絶妙な――本当に絶妙な――赤ちゃんの肌のような柔らかいニュアンスが感じられる。非常にねっとりとしたジャズ的ヴォーカル・パフォーマンスから、ロックンロール魂が高潮した中域パワー全開ヴォーカルに至るまで、多岐にわたるスタイルをこのマイクロフォンは網羅してくれるだろう。これでもしアコースティック・ギターを録ったならば、それこそ涙腺緩みっぱなしのバラードに変幻するかも知れない。
 
 いかついくせに、やるなこのAston Origin。堅牢かつ斬新。メーカーはブリティッシュだけれど、鯔背(いなせ)な下町の若者の品の良さ、らしさがある。それは音楽に携わる者の、モダンなセンスと言っていい。
 

〈了〉
(2017.05.11)

§ Equipments Column


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