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ポッポ波止場

Produced,Written and Composed by Utaro
Vocal Performed by Utaro
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レコードは素晴らしい

アナログ・ディスク緒論



 現代のインタラクティブなデジタル技術の進歩を常とする我々にとって、機械的に音楽を記録・複製することができなかった時代の世を想像することは、なかなか容易ではない。


 スコアの発明は演奏者から演奏者への楽曲伝達に最大限寄与したものであるが、その演奏者の演奏そのものを伝達することはできない。演奏会の観客が耳で覚え、言語的表現あるいはスコアによる補助的な役割によって他者に伝える以外、音楽を伝える手段がなかった。


 ジョン・アーグル著『ハンドブック・オブ・レコーディング・エンジニアリング』(ステレオサウンド刊)のアナログ・ディスクに関する緒論が非常に興味深い。この緒論及びラッカー盤に関する稿を簡単に要約して述べるとすれば、こうである。


 アナログ・ディスク・タイプのレコードの起源はエディソンの円筒ロウ管方式による音の記録に始まり、初期の音楽記録媒体は「機械的」な方式であった。1920年代中期に良好な周波数特性による高出力可能な「電気的」記録方式が開発され、ここにその歴史的な第一歩が開かれた。この電気記録方式を推し進めたのがEMIである。
 その後、LPレコードは78回転から33回転となって音質面が改善され、その電気記録方式の再生法によるカートリッジやカッターヘッドのデザインが進歩のキーポイントとなった。


 1930年代後期以降、マスター盤はワックス材からラッカー材が使われ始めた。ラッカー材はヒマシ油を原料とした可塑剤塗料とその他の含有物を混合した溶剤にセルロース硝酸エステルを混ぜたもので構成される。この溶剤をアルミの金属ベースに塗布し、アワなどが発生しないように、ゆっくりと溶剤を揮発させて作られる――。

 エジ蓄で初めて《声》を吹き込み、それを再生してまったく聴こえなかった失敗談については、「エジ蓄初体験!」を読んでいただきたい。今回、二度目の実験によってようやく《声》=《歌》を聴き取ることができた。私はあのラッパに向かってこんな歌を歌った。
“ポッポ波止場 ポッポ波止場 ポッポッポッポ…”
 あくまでオリジナルの作詞・作曲である。これを「ポッポ波止場」というタイトルにした。


 エジ蓄で高音質録音できる時間は、わずか15秒である。そう、わずか15秒でロウ管の端から端まで溝を刻んでしまう。しかも一度再生すると、著しく音質が悪くなり、二度目の再生はかなり変形して聴き取りづらくなる。私は「ポッポ波止場」を吹き込んだ直後、PCM方式のレコーダーでエジ蓄の再生音をステレオ録音した。そしてそれをPro Toolsに取り込んで編集し、マスターファイルを生成した。

そして「ポッポ波止場」



 この「ポッポ波止場」を是非聴いていただきたい。わずか15秒足らずであること、ノイズが多くかなり聴き取りづらいことをご了承願いたい。何度も何度も繰り返して再生していただくと、確かに《歌》が聴こえてくると思う。


 その反面、初期の機械式のロウ管蓄音機が、この程度であるということを具現化して理解するには、十分な実験であった。個人的に貴重な体験をした。先述したジョン・アーグル氏の言い分はまったくもって肯定すべきであり、「電気的」な方式に変わって初めて音楽の記録が信頼のおけるものとなったと言える。またそれはラッカー材の開発に触れた点でも同じだ。


 さらに今回の実験によって、アナログ・レコードに対する関心が増した。この21世紀においてもまだまだ、キング・オブ・オーディオはアナログ・レコードであるのかも知れない。

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