開高健『開口閉口』―やらされることの美学〈2〉
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大江健三郎「晩年の読書のために」
【大江健三郎著『「伝える言葉」プラス』(朝日新聞社)】 作家・大江健三郎氏が3月3日に亡くなった――。14日付の朝日新聞朝刊では、「大江文学 戦後精神と歩む」という見出しで、大江氏の来歴や評伝などが掲載された(筆者・吉村千彰)。「民主主義...
疫病レイブのこと
【『Sound & Recording Magazine』2020年11月号「Berlin Calling」】 ここ最近、好んで夜にレヴォン・ヴィンセントの『Levon Vincent』(2015年/Novel Sound)を聴いている。...
恋するベアー―性教育関心への定点観測
【私のときめくベアーへの想い。ベアーが好きだ】 ある写真を眺めていて、ベアーのぬいぐるみが素敵だと思った。そしてまた、ある本を読んでいて、そのベアーの人形が、あまりに精巧で愛くるしく、食べてしまいたいと思った――。 写真の方は、エドワー...
映画『微熱少年』のこと
【REBECCAのシングル「Monotone Boy」】 その昔、演劇部を中途退いて、お互いに疎遠になっていた友人Hが、中学3年になったばかりの春、1枚の7インチバイナル(シングルレコード)を貸してくれた時のことを、私はかすかに憶えている...
UNICORNのペケペケ伝説
【UNICORNのアルバム『PANIC ATTACK』。左がEBIさんで、右が奥田民生さん】 今回は短めに。 昨年の初夏、約2年間ほっぽらかしていた自主製作の映画『アヒルの狂想曲』の編集を突然再開し、その間、ツイッターをやめるべくアカウ...
伴田良輔の『眼の楽園』―最後尾の美学
【伴田良輔著『眼の楽園』を開けば、そこには美しい女がいた…】 「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉がある。グレシャムの法則と、辞書に出ている。 私がこの言葉を知ったのは、司馬遼太郎著『愛蘭土紀行Ⅰ』(朝日新聞社)であった。司馬さんは、学校...
坂井清昭の『アメリカの新商売』のこと
【これは面白い! 坂井清昭著『アメリカの新商売』】 去年だったか一昨年だったか、KKベストセラーズの既刊目録を眺めていて、〈うむ? これは?〉と思う本に出くわした。坂井清昭著『アメリカの新商売 日本でやればすぐに儲かる』(1971年初版)...
伊丹十三の『ヨーロッパ退屈日記』とペタンク
【伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』より「ペタンクと焙り肉」】 パリのホテル「カリフォルニア」の、バーテンがつくる「ドライ・マルティニ」は、《パリ一番のほまれ》であると、伊丹十三氏は『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)にそう記している。 《大き...
残されたメモ―バグる世界
【ザッカーバーグ氏の桃源郷メタバースは何処へ?】 私は日頃、メモ魔である。本を読みながら、新聞を読みながら、映画鑑賞をしていながら、なんとやらのメモをとることが多い。すなわち、衣食住の根幹を支えているのが、このメモのたぐいであり、夕飯のメ...
真昼の心霊写真
【写っているのは美しい女性なのか?】 思いがけず、身の回りの物品の“断捨離”(だんしゃり)などをして、かつて思い入れのあった品々をざっくばらんに処分したりしたのだが、その勢いに煽られて、ちょっとばかり大きな所有物を処分するまでに至った。先...