80年代に一世を風靡した
国産8ビットパソコン
“NEC PC-6001”。
その頃の電波新聞社の月刊誌“マイコンBASIC Magazine”に投稿されていた
幻のミュージック・プログラム
「ベーシックマガジンのテーマ」を
デジタル・マスター化してここに再現!
「ベーシックマガジンのテーマ」
(作曲者兼プログラマー・桑本伸広)

これは本当に貴重な音源なのです!
ホンモノの、
実機のPC-6001に打ち込んであったプログラムを走らせ、
DATに録音しておいたのが1997年頃。
それを今回、
20年以上の歳月を経て、
Pro Toolsに取り込んでマスター化!
Electro Pop
ベーシックマガジンのテーマ
Produced by Utaro
Composed by Nobuhiro Kuwamoto
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甦るレトロなコンピューター・ミュージック
最初に断言しておくけれども、この作品は私がコンポーズしたものではない。1983年か84年頃、パソコン雑誌に投稿掲載されていたコンピューター・ミュージックのプログラム(BASIC言語によるプログラム)を自動演奏させたものである。
《むかし、小学生の頃、雑誌『マイコンBASICマガジン』(電波新聞社)を愛読していたのだけれど、「ベーシックマガジンのテーマ」という読者投稿のPC-6001用の音楽プログラムがとても懐かしい。これ、20年くらい前にDATに音声をデジタル録音しておいたのだった》
(2018年6月13日の自身のツイートより)
小学生の頃にそれを打ち込んで、プログラムを磁気テープ(カセットテープ)に保管してあったのをあらためて読み込んで再生し、デジタル録音したのは1997年頃のことである。2018年6月、上記のツイートがきっかけとなり、それから4ヵ月後、DATの音源をPro Toolsに取り込んでおいた(32bit浮動小数点/96kHz)。それはあくまで、そろそろ古びてきたDATがいずれ手持ちのレコーダーで再生できなくなってしまうことを考慮しての、アーカイヴの意味合いであった。
ところが矢も楯もたまらず、小学生の時分に打ち込んだ、この幻の曲「ベーシックマガジンのテーマ」を、PC-6001コンピューター・ミュージックのlegacyとして広く公開した方がいいのではないか、と思い直したのは2019年の2月である。翌月、すべからくミキシング以降の作業をおこなってマスター化。経緯としてはそういうことである。
本来ならば自身のポートフォリオに載せるべきものではない。が、既に述べたように、この作品はそれ自体がPC-6001サウンドのlegacyであること、またこの作品を小学生時代に初めて聴いた、言わば私自身のエレクトロ・ミュージックに対する生々しいfirst impressionととらえてもおかしくはない貴重な体験の因果を考え、こうした公表の仕方に踏み切った次第である。
私が小学生だった80年代に夢中になっていた8ビットのホビー・パソコン(その頃はマイコンと呼んでいた)PC-6001。このパソコンのサウンドチップ(PSG)は、GIのAY-3-8910。矩形波3系統、ホワイトノイズ1系統。8オクターブ、3重和音。ファミコンのゲーム音楽のサウンドをイメージする方もいるかも知れないが、ファミコンの音源は8ビットCPU(RP2A03)に組み込まれたユニット音源であり、まったく異なるものである。
PC-6001の音源AY-3-8910で鳴らす「ベーシックマガジンのテーマ」。雑誌『マイコンBASICマガジン』に投稿したコンポーザー兼プログラマーが、そもそもテクノ・ポップなエレクトロ・ミュージックにどれほどの愛着を抱いていたのかを窺い知ることはできないけれども、その雑誌に掲載されていたプログラムをたまたま自分で打ち込んでRUNさせた時の感動は、なかなか忘れることができない大きなものであった。テクノらしい軽快なリズム、ベース音的な役割を果たすアルペジオのフレーズ、メロディが時折奏でるディレイを模倣したフレーズなど、素直に素晴らしいと思って感動した。PC-6001という当時の8ビット・パソコンの実力というものに対しても、ある種の感動があったのだ。
私が20代になった90年代の半ば、かつて群雄割拠した幾多の8ビット・パソコンは既にレトロの称号が相応しくなっていた。この曲の存在をふと思い出し、プログラムを記録した磁気テープを実機で読み込み、本体の出力端子からアナログのケーブルを使ってDATにつなぎ、A/D録音した(その際は16bit/48kHz)。
過ぎ去った8ビット・パソコンのサウンドは、こうして私の記憶に残ることとなった。今となってはあの頃遊んでいたPC-6001の本体も、また数々のゲーム・ソフトウェアもすべて処分してしまって一切手元にない。この曲「ベーシックマガジンのテーマ」だけが手元に残り、レトロなコンピューターの懐かしい記憶の水源となっていることは奇跡のようである。いずれこの曲の全貌が詳らかになることを願う――。
追記:(2019年3月21日)
この曲をアップした3月13日、さっそく数名の方々から情報をいただき、この曲の作曲者及び掲載されていたベーマガの年月号が明らかとなりました。まずは、情報をお寄せいただいた方々に感謝とお礼を申し上げます。
作曲者は桑本伸広(Nobuhiro Kuwamoto)さんで、当時18歳。プログラムが掲載されていたのは、『マイコンBASIC Magazine』1983年10月号の“津久井ひろしのComputer Soundコーナー”。全3ページにわたり、この曲のプログラミングについての詳しい解説が掲載されていました。
その詳しい情報はブログで。
【ベーシックマガジンのテーマ◎特報!】
2018.10.16 | 音源を録音してあったDATを再生し、Pro Toolsに32bit浮動小数点/96kHzで取り込む。DATへのA/D録音は16bit/48kHzだったので、アナログ・ミキサーを介してコンバート。 |
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2019.03.06 | ミキシング作業とマスタリングをおこなう。テクノのリズム・サウンドはハイファイに強調してモダンなサウンドに仕上げた。 |
2019.03.13 | ツイッターにて詳しい情報が寄せられ、新事実が明らかになる。 |
↓その他の情報の関連リンク↓
↓PC-6001のミュージック・プログラミングに関するページ↓
「PC-6001とがっこうのうたの話」
↓Commodore 64&コモドール64ミニに関するページ↓
「こもどーるの狂乱」
[Dodidn* blog]主な関連ログ
2019.03.21 |
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