Butoh Project
New Dream
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新しい夢―混沌の只中へ
暗澹たる未来に向かって、自らの身体に呪いをかけながら、まっすぐに歩むことさえままならず、ただひたすら混沌の只中、藻掻き苦しみ喘ぐ人々。世界の表象は常にそうした現代の刹那を背負い、戦争と平和のお伽話を繰り返しているに過ぎない。
「私」という新しい夢は、いったいどこに向かおうとしているのか。己の身体はいかに自己で在り続けるのか。
想像だにしなかった出来事が、己の魂と肉体を分離し、その夢を奪い去る。「私」という自己が過去の「私」を喪失し、まったくの新しい「私」という自己に置き換わる時。その時の肉体は果たして、新しい「私」を受け入れるであろうか。あるいは肉体は未来永劫、「私」という自己を虚妄の幻影として拒否しつづけるのであろうか。
身体は常に、新しい夢に向かって、踊り続けなければならない。灰色の空の下、紅く染められた大地に降り立ち、その先の夢へと向かう。どれほど危険な海であろうと、霧に覆われた断崖の淵に追い遣られようと、その都度立ち上がり、さまよい続けなければならない。
やがて、光が見えてくるだろう。言葉が聞こえてくるだろう。いつしか旅は、終わりを迎える。暖かな光が、優しく身体を包み込む。懐かしい過去の「私」の微笑みが、小さな星の瞬きのように天高く、いつまでも消えることなく「私」の未来への灯台の役を果たすのだ。