これぞ運命
自己批判ショーの“客少な”伝説
この曲をカヴァーすることになった2015年の夏、思いがけずこんな夢を見てしまった。
――自己批判ショーの川辺さんが砂嵐吹きすさぶバザールで、ターバンをこうべに巻き付け、私にこの曲「これぞ運命」を高値で売りつけようとしている。金を持ってないと私は何度も首を横に振るが、相手は目を瞑って応じない。結局私は、にやりと笑みを浮かべた川辺さんにまんまと言いくるめられ、着ぐるみ一切を失ってそれを買わされる――。
魔法のランプならぬ悪魔のランプがともる。もしかすると、現在の自己批判ショーのファンには想像もつかないことかも知れないが、幸か不幸か、私は「これぞ運命」の歌詞の“客少な”の気持ちが痛いほどよく分かる。尤も可哀想なのは、お客様の方であった。空席の目立つ寒々とした客席側に座り、どれほど不安であったろうかと。これで芝居が面白くなければ、狂って火をつけてやろうかと。
はい、同情いたします。自己批判ショーはかつて、“客少な”でした。
まあそんな過去は、お互い笑い飛ばしてしまいましょうということで、ターバン川辺さんに服をはぎ取られすっかり裸の身となった私は、その呪われた楽曲に少しばかりアブラカタブラ~とスパイスを振りかけて、自分で歌ってみることにしたのである。スパイスが効きすぎて、レコーディング中にハックション!と風邪をひいたのも事実である。
どうやらターバン川辺さんの呪いは解けそうもないけれど、「これぞ運命」と思うことにした。そう、これぞ運命。またどこかでひょっとしたら、自己批判ショーの舞台で“客少な”伝説が復活してしまうかも知れないが、その寒々とした空席の現場を目に焼き付けてみてはいかがでしょうか。あなたも伝説の目撃者になれます。でももう、そんな機会は滅多にないのだろうな。
十年 ずっと 舞台での 僕たちの心
男だけの地方劇団
ああ これぞ運命 宇宙のさだめ
十年 ずっと 客席は 見わたすかぎりに
永遠 ずっと 変わらない ものだってあるのさ
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