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2.「加工・調整」の行程〈1〉

 では実際に、音を聴きながら、ミキシングの作業を進めてみましょう。
(※ミキシングの前段階に当たるプリプロダクション~レコーディングに関しては、下記の[Dodidn* blog]主な関連ログをご参照下さい。)
 
❶ミキシング・ゼロの状態を聴く・耳で把握する
 いまPro Tools上には、すべてのパートのレコーディングを済ませた、1曲があると思って下さい。
 具体的には、

 
●曲名:「はにかむバルテュス」。8分の6拍子、嬰ハ長調。
●パート:
      ①ドラム(Drum)
      ②シンセ・ベース(Syn.Bass)
      ③アコースティック・ピアノ(A.Piano)
      ④オルガン(Organ)
      ⑤シンセ・パッド(Syn.Pad)
      ⑥ヴォーカル(Vocal)
      (計6パート)
●6つのトラックに、それぞれのパートのクリップが配置されている状態。
●録音フォーマット:32bit浮動小数点/96kHz

 
 です。
 以下のMP3ファイルをクリックして、実際にその音を聴いてみましょう。フェーダーをまったくいじっていない(※すべてゼロ点。録りの段階で、ある程度録音レベルは調整してあるので、その時のレベルの状態ということ)、定位もいじっていない、Pro Tools上のエフェクトを何一つかけていない状態であり、録りの音のままの再現(※ダウンロード・ファイルの便宜上、16bit/44.1kHzにダウン・コンバートしたMP3ファイルにしている)。

 DAW上で何度か再生してみて、それぞれのパートの音のレベル・メーター(ピーク・メーター)がどのように変動しているか、大まかに掴んで下さい。基本的には、大きい音のパートは大きな振り幅で動いており、小さな音のパートは小さな振り幅で動いていることを確認して下さい(すごく重要なことです。これが間違っていると、あとで苦労します!)。
 
【レコーディングでの録音レベルの重要さ】
 私が録音レベルを調整する時は、だいたい-10dB~-15dBあたりでメーターがうろうろするように合わせています。小さな音のパートはもっと小さい-20dBくらいで十分です。この曲のシンセ・ベースの場合は、もっと大きい-5dBあたりを指したりしています。
 原則として、レベル・メーターがゼロを超えないように録音レベルを調整することがポイントで、それぞれのパートの音の大きさに応じて、その値は違います。小さな音で鳴らすつもりなのに、レベル・メーターが平均して-5dBを指している極端な録りの状態は、決してよくありません。あとでフェーダーを大きく下げるからいいだろう、と思うかも知れませんが、デジタル・ミキシングでは、フェーダーのちょっとした上げ下げだけで音のニュアンスが変わってしまう傾向があるのです。録り音のニュアンスを失いたくなければ、注意しましょう。
 もし、残念ながら間違った録音レベルで録ってしまって取り返しが付かない場合、Pro Toolsでは、クリップのトリム・フェーダーを調整することで、ある程度適切なレベルに回復することができます。
 
❷パンニング(ステレオの定位)を考える

「はにかむバルテュス」のパンニング・プラン

 録り音の状態とは、録られた音が混沌と混ざったままの状態であることを指します。それぞれのパートの音を、ステレオ間で振り分けます。事前に、各パートの定位のイメージを持つことが大切です。左図のように、各パートのステレオ位置を示す図を描いてみましょう。その際、定位に関して、考えなければならないことがあります。
 
 
 1.「はにかむバルテュス」という曲は、安定感があった方が良いだろうか。あるいは安定感は無い方が良いだろうか。
 2.「はにかむバルテュス」という曲は、どの音を最も強調すべきだろうか。逆にどの音を強調すべきでないだろうか。
 3.歌の歌詞はしっかり理解してもらえた方が良いだろうか。それとも歌詞はさほど重要でないのだろうか。
 
 私が出した答えは、「はにかむバルテュス」に音の安定感を求め、ドラムのリズム感と特にシンセ・ベースの太くて力強い音を強調すべきと思い、歌の歌詞は指して重要ではない、という結論でした。
 この出した答え通りに、パンニングをし、これ以降のミキシングの叩き台とするのです(出した答えの正誤は関係ありません。頭に浮かんだイメージを具体的な形(音)にしていくことが重要です)。

パンの法則

左チャンネルと右チャンネルの等分の位置にあるセンター(中央)が最も安定的で落ち着きがある反面、聞こえる音としては無頓着に受け取られることも少なくない。
ヴォーカル(主音)はどこに配置されても、脳が最も聴き取りたいと感ずる音であり、左右かまわず耳に入る。ただし、ヴォーカルと同位置の音(伴奏音)は無頓着となる。
それぞれ配置された音の、端から端の間隔の大きさによって、広がりの度合いが比例する。

「はにかむバルテュス」のパンの法則

シンセ・ベースとヴォーカルを中央に配置し、安定感を引き出す。
ドラムはどこでどう鳴っていようとかまわない(実際、左右でジャカジャカとうるさい)。
ピアノがやや右側で鳴っているから、オルガンを反対の左側に位置した。このピアノとオルガンの開きの度合い、そして中央のシンセ・ベースの三角関係で安定感とステレオ感を引き出す。
シンセ・パッドのディレイの余韻がやや左側に残るため、これとかぶらないよう、ピアノを逆の右側に位置している。仮にピアノを左側に配置していたら、このシンセ・パッドの余韻は印象が残らなくなってしまう。
したがって必然的に、ピアノは右側であり、相対的にオルガンは左側である。
もちろん、他の配置の仕方はいくらでもある。音楽は自由。しかし、先に自分が出したイメージの答えを形にするには、これがベストだと感じた。

 
 そうして各パートをパンニングした全体の音が、以下のMP3ファイルです。先の、録り音の状態と比較して聴いてみて下さい。

 このパンニングはあくまで一例に過ぎませんが、実験的にいろいろパンニングを試してみて、そのパートが有機的に聴こえる状態、そして全体が調和したステレオの状態を試行錯誤してみるといいでしょう。

★レコーディングが済んだ段階でやるべきこと

 

自分で把握しやすいよう整理されたトラック画面

 ミキシングを開始する前に、やるべきことがあります。
 すべてのパートのレコーディングの済んだ後、もしくはレコーディングを進めている段階から、これをやっておくと、後々ミキシングが非常に楽になります。
 それは、レコーディング・シートの記録とトラックの整理です。
 
 そもそも、レコーディングとは、音以外も常にメモることが大事で、例えばギター系のアンプの設定を忘れないよう、間違えないようにするため、アンプのノブの目盛りの部分に、ドラフティングテープ(仮止め用の紙テープ)を貼って確定した目盛りの位置をマーキングしたりしますね。ミキサーのフェーダーにも、どこがどのパートか、ドラフティングテープを使ってパート名をメモったりします。次回、同じ設定でレコーディングが行えるよう、こうしたメモをそれぞれに残しておくわけです。
 DAW上でも、前もって録るパートの楽器名などを打って記録しておくと、クリップのファイル名がそれになり、どのクリップが何の楽器の何テイク目か、把握しやすくなります。これをやっておかないと、どのクリップがどの楽器に当たるのか、まったく分からなくなってしまいます。パート数が増えれば増えるほど、その把握は困難になります。
 さらに、各パートをセクション毎に、見た目上、並べ替えておくことも大切です。リズム隊、鍵盤セクション、弦楽器セクション、管楽器セクション、ヴォーカル・セクションなどなど。
 
 コンピューターのソフトウェアなど、いつクラッシュしてどうなるか分からない、数年後にはそのソフトウェアは使えなくなるかも知れない、ということを踏まえておくべきです。
 作業中はこまめに保存、保存、保存。済んだレコーディングは紙のシートに記録しておくこと。クリップと設定ファイルを含めた全体のファイルとフォルダを、逐一作業を終えた段階でバックアップしておくこと(書き出したファイルももちろんバックアップを取ること!)。数秒後にはクラッシュして消えてしまうかも知れない、ということは想定しておかなければなりません。

制作・レコーディングに関することはDodidn* blog!

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