中学校

文学

大岡信の「言葉の力」

【光村図書の中学国語教科書】 先日私が観た映画『早春物語』(監督は澤井信一郎)の“春の風景”が美しかった。思い起こせばそれは、学生だった頃に体験した、新学年に移行する時期の頼りない不安だったり、友と別れたばかりのさみしい心持ちの写し絵であっ...
映画

遅ればせながら『早春物語』

【映画『早春物語』の当時のパンフレットより】 小学校時代の幼馴染みで、女優・原田知世さんのデビュー当時から彼女の大ファンだった男友達のHは、私と同じ工業高校まで腐れ縁であった。その日々を懐かしく想う。 20代の後半期に差し掛かった頃、別の友...
音楽

早熟だったブルージン・ピエロ

【稲垣潤一の「ブルージン・ピエロ」シングル・レコード】 35年前の、私の中学生時代の回想――演劇部の部長に仄かな恋心を抱き、さだまさしの「軽井沢ホテル」を聴きながら、夢うつつの日々を送っていた――ことは以前書いた(「さだまさしの『軽井沢ホテ...
文学

写真小説『サーカスの少年』のこと

【松本隆小説、安珠写真の『サーカスの少年』(東京書籍)】 中学を卒業してからの高校の3年間は、あっという間に過ぎようとしていた。かろうじてその時、まだ17歳だった。私と友人は、あと数ヶ月で卒業という只中に、こんな会話をしたのである。「俺たち...
音楽

さだまさしの「軽井沢ホテル」

【さだまさしさんの「軽井沢ホテル」EPレコード】 自分の学生時代の頃のことを思い出すのは、身悶えするような切なさを伴う。同じ地べたを踏み歩いてきた幼き頃の自分――というのとは少し感覚が異なって、まったく《異世界》に居た、別人に近い自分に思え...
飲み物

『洋酒天国』―南米の葡萄酒と罪と罰

【異例の再登板。『洋酒天国』第44号】 当ブログの2014年5月27日付でヨーテンの第44号を既に紹介している。「『洋酒天国』とペルノー」である。最近、懐かしくなってその第44号を手に取って読み返してみた。その中身の内容の充実さと比較して、...
旅行

京都へ―二条城と天龍寺の庫裏〈二〉

【二条城の二の丸御殿のあたり】 前回〈一〉からの続き。 今にも雨が降り出しそうな曇り空だった4月17日の午後。二条城。観覧の順路に従って、私は二の丸庭園から東橋を渡って本丸櫓門をくぐり、本丸庭園を鑑賞した。この庭園の風雅なよすがは、中学校時...
旅行

京都へ―二条城と天龍寺の庫裏〈一〉

【二条城の外堀。東南隅櫓】 鳩居堂の話の次は、二条城である。二条城へは、地下鉄東西線の烏丸御池駅から一つ目の駅、二条城前駅で降りた。慶長8年(1603年)に徳川家康が築城。264年後の慶応3年(1867年)には、江戸幕府15代将軍の慶喜がこ...
文学

ヘルマン・ヘッセと中学国語教科書〈2〉

【ヘルマン・ヘッセ「少年の日の思い出」】 前回からの続き。私はいったいいつ大人になったか――。  その光村図書の中学国語教科書は全7章あって、第7章の標題は「少年の日々」となっている。第7章で取り上げられている課題作品は、井上靖の「赤い実」...
文学

ヘルマン・ヘッセと中学国語教科書〈1〉

【中学国語教科書(光村図書)】 私はいったいいつ、大人になったのだろうか。少年としての子供が、大人として振る舞う少年となり、そして大人としての大人に成長していく過程のそれぞれの兆しは、いったいいつ、どのようにして顕れたのであろうか。  そん...