映画『人間の証明』―消し去れない過去
伊藤整
鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』
【映画の記念盤EP『ツィゴイネルワイゼン』サウンドトラック】 今年、私は故あって鈴木清順監督の映画――『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』――を追いかけている。いわゆる“(大正)浪漫三部作”である。 一投目の『夢二』(1991年)...
唐木順三の「時代相と青年の夢」
【筑摩書房『唐木順三全集』第十二巻】 一つのつまらぬ行動から文学的体臭を嗅ぎ取るに至る偶然に出くわす。 あるスマホのアプリで、カメラで写した文書を画像に起こし、自動的にテクスト化してPDFにするという事務系のたいへん便利なものを試してみ...
芥川龍之介の『蜜柑』を読んで
【筑摩書房の芥川龍之介全集より『蜜柑』】 芥川龍之介という人の作品は、それこそ太宰治と同じくこぞって学生に読まれやすい性質がある。この知名度の大きさは、作家にとって、いや作家とその作品を十分に理解する上で、ある種の先入観に侵されやしないか...
愛蘭土紀行
※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2011年12月26日付「愛蘭土紀行」より)。 ジョイスの『若い藝術家の肖像』あるいは『ユリシーズ』繋がりで先々月あたりから本を開き始めた、司馬遼太郎著[街道をゆく]シリー...
伊藤整の「青春について」
※以下は、拙著旧ホームページのテクスト再録([ウェブ茶房Utaro]2010年11月18日付「伊藤整の『青春について』」より)。 高校3年の国語の授業において、個人的に想起するものは、唐木順三の「疎外されることば」であり、柳田国男の「清光...