※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2011年12月8日付「世紀の火」より)。
茨城県下の地方銀行・常陽銀行の小冊子に、『常陽藝文』(財団法人・常陽藝文センター発行)というのがあります。この12月号の特集「校歌の描く風景(II)」で私は、同じ県民として少なからず衝撃を受けました。
東海村立石神小学校の校歌が紹介されていますが、原子力関係施設を持つ東海村ならではの、原子力に絡んだ語句が歌詞となっていたからです。
「東海村立石神小学校校歌」 作詞:多田公之助、作曲:有賀正助
(※一、二は省略)
三、
熱だ力だ久慈川の 流れにはえる世紀の火
あれがみんなの石神の 子どものねがい
新しい世界を作る
新しい世界を作る
もしや、と思い、東海村の別の学校のホームページを調べていくと、やはり原子力に絡む語句のある校歌がありました。県立東海高等学校の校歌です。
「茨城県立東海高等学校校歌」
(※一、三は省略)
二、
晴嵐の丘 雲高く 時代を担う 原子の火
久遠の真理 仰ぎつつ 知性豊かに 磨きあい
未来を拓かん 若人われら
東海 東海 東海高校
茨城県が抱える脱原発依存の問題(課題)は大きなメディアにのぼることもなく、ひっそりとしてしまっていて、むしろ過小評価されているのではないかとさえ思う今、校歌に刻まれた“世紀の火”“原子の火”という文言は、東海村の戦後の郷土史を濃厚に示していると同時に、子供達(あるいは卒業生)にも、《複雑な記憶》として刻み込まれているのではないでしょうか。
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