吉行淳之介

文学

開高健『開口閉口』―アリ釣りとオスとメスの話

【開高健著【開口閉口】(新潮文庫)】 ――こんな夢を見た。 人権擁護の活動家である私は、都会の喧騒を離れて、ある山荘にこもった。夜な夜な、スコッチの後に、オールド・トム・ジンをベースにしたトム・コリンズのカクテルを一杯飲む。かけているレコー...
文学

硬派な短篇小説と『洋酒天国』

【壽屋PR誌『洋酒天国』第55号】 このところ好んで開高健氏のルポルタージュやらエッセイに読み耽っている。大阪時代の話が、めっぽうギトギトしている感じがして、読んでいるこちらも思わず汗を掻く。そのせいか、大人向けの渇いた感じの読み物の、ヨー...
科学

「オスの戦略 メスの戦略」を考える

【筑摩書房の高校国語教科書『新現代文』】 国語教科書を読むことが好きである。いつだったか入手した2005年発行の高校国語教科書『新現代文』(筑摩書房)はすっかり手に馴染んで、まるで自分の高校時代の教科書であったかのような錯覚すらある。画家・...
飲み物

『洋酒天国』と酒盃のこと

【『洋酒天国』第17号】 ついこのあいだのこと。なんとなく不安な心持ちでありきたりなコップを手に取り、ドボドボと角瓶を流し込んで、ぐいっと口に含んだ時の酒は、後々悪い酔い方をする。 何やらその時は、酔い覚ましにと訳もなくエディット・ピアフの...
飲み物

『洋酒天国』とペルノー

【『洋酒天国』第44号】 フランソワーズ・サガンの短編小説「かどのキャフェ」で、ペルノーの酒が登場する。――主人公マルクは、医者から肺癌で余命3ヵ月を宣告された。彼は死を怯えた。折り重なる雑多な回想に馳せた後、大通りのかどのキャフェに立ち寄...