新潮文庫

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冬景色へのイントロダクション

【音楽教科書の中の「冬景色」】  小学校時代の音楽授業については、当ブログ「音楽の教科書―歌と音の悦楽」で初夏に書いておいた。  私が小学5年生であった昭和58年当時、使用された教科書(と同等の改訂版)「改訂 小学音楽5」(教育出版)の中に...
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漱石本―津田青楓装幀の画

【大正6年の『色鳥』。津田青楓装幀】  今年の7月末、新潮文庫版の漱石『こころ』が、累計発行部数700万部を突破した、という。同書の1952年刊行以来、186刷701万500部を超え、新潮文庫としては歴代1位の発行部数となったらしい。  朝...
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『洋酒天国』とペルノー

【『洋酒天国』第44号】  フランソワーズ・サガンの短編小説「かどのキャフェ」で、ペルノーの酒が登場する。――主人公マルクは、医者から肺癌で余命3ヵ月を宣告された。彼は死を怯えた。折り重なる雑多な回想に馳せた後、大通りのかどのキャフェに立ち...
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ウミとドクヤクとサガン

【サガン著『絹の瞳』(新潮文庫)】  古書小冊子『洋酒天国』に珍しい遠藤周作訳のフランソワーズ・サガン「イタリーの空」が掲載されていたのを発見して、その“サガンらしくない”男っぷりのある文体にある種の違和感を覚えた私は、すぐさまサガン著の短...
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『洋酒天国』とサガン

【『洋酒天国』第28号】  毎度おなじみ小冊子『洋酒天国』(洋酒天国社)。第28号(昭和33年8月刊)で思いがけずフランソワーズ・サガンを読んだ。  その前に。この第28号の表紙はいったい何であろう。インパクトがありすぎる。  常々、“寅さ...
文学

漱石と読書感想文

一纏めに、私が学生時代(小学校から専門学校まで)に書いた、学校提出作文としての読書感想文について記憶をたどってみた。  小学校での、夏休みの宿題として提出を要求される読書感想文にはそれなりに風情があった。――夏休みの期間中、学校指定の本(文...
文学

ピーティーファンさん

【新潮文庫版『開口閉口』】  8年前、とある雑誌の特集がきっかけで、それまであまりよく知らなかった開高健氏の人柄と文学に興味を抱き、『ロマネ・コンティ・一九三五年』(文春文庫)を読んだ。短篇にして圧倒された。それから同じ頃、彼のエッセイ集『...
テレビ

三四郎とばくさん

【9月15日付朝日新聞朝刊より】  私自身、俳優の熊倉一雄さんに関する思い出は決して少なくない。  幼年時代に聴いていた“レコード絵本”の中に、確か熊倉さん朗読の“ピノキオ”があって、何度も聴いた。熊倉さんの顔を知ったのはもっと後年であり、...
ミュージアム

漱石本の装幀

【初版『漾虚集』の装幀(レプリカ)】  「装幀」(ソウテイ)という言葉を辞書で引いてみる。 《書物を綴じて、表紙・扉・カバー・外箱などをつけ、意匠を加えて本としての体裁を飾り整えること。また、その意匠。装本》 (『大辞林』[第三版]より引用...
文学

漱石のこと〈二〉

私が高校時代に新潮文庫の『こころ』(原題『こゝろ』)を買い、その後、ますます漱石文学に夢中になり、同じく新潮文庫の『文鳥・夢十夜』だの『門』だのを読み始めた経緯には、やはり底辺に《明治》に対する漠然とした関心が強くあったからだろう。特にその...