伴田良輔の『眼の楽園』―バラとデイヴィッド・リンチ
Utaro
伴田良輔『眼の楽園』―モーテルという享楽
【またもや登場。伴田良輔著『眼の楽園』】 人々の内に秘めた猥雑さを剥ぎ取ってしまったもの、それがパンデミックのコロナ禍(COVID-19)だ。コロナ禍が、あらゆる想念の《旅愁》すら消し去ってしまった。 それを取り戻すのに、およそどれだけの...
映画『サイコ』とラブホの関係
【映画『サイコ』に出演したジャネット・リーとジョン・ギャヴィン。そして監督のアルフレッド・ヒッチコック(右)】 春の夕刻、新宿のとあるショップの前で落ち合った。大きな交差点をわたり、ひしめく雑踏から逸れて、私たちはいくつかのビルを横切って...
我がツイッター時代のツイートより―『ライ麦畑でつかまえて』編
Utaro/青沼ペトロのツイッター(旧ツイッター)時代のアーカイブ。◎第1期:2010年4月22日~2022年6月26日(1.5万ツイート)◎第2期:2022年9月8日~2023年4月19日(2,588ツイート)以下は、この中から選りすぐり...
地球空洞説はほんとうか?
【私の少年時代の愛読書『世界ミステリーゾーン』(小学館入門百科シリーズ34)】 子どもの頃にストーンヘンジ(Stonehenge)の魅力に取り憑かれていた話は、今年の初めに紹介した(「ストーンヘンジに魅了されていた頃」)。今回はさらに弩級...
母校の図書室と小説『大地』のこと
イングランドの小さな町の教会に、シェイクスピア(William Shakespeare)の墓があって、どうも超然としておらず、その彼の彫像は威厳がなく平凡だ――という話を、何かの本で読んだ。ここからしばし、ある記憶について想像を巡らせたのだ...
人新世のパンツ論⑭―最終回・愛しきフンドシは二度ベルを鳴らす
【福富織部著『褌』(成光館/昭和2年刊)】 日本人の働き盛りの男性を相手に、フンドシや包茎の話題を持ち出すのはタブーである。とくに女性が若い男性に対して、それらの話を持ち出すならば、たいていの場合怪訝な顔をされて内心嫌われる。どういうこと...
岸本佐知子さんのアピヨンポンポン
【『ちくま』2024年9月号より岸本佐知子連載「ネにもつタイプ」】 これを書かずにいると、夜も眠れなくなる――と思ったので、書いておくことにする。 翻訳家でエッセイストの岸本佐知子さんが、筑摩書房のPR誌『ちくま』で「ネにもつタイプ」を...
『ぴあ』―素通りしてしまった映画たち
【キアヌ・リーブスさんの懐かしい広告。サントリーのリザーブ】 《香りたつたび、何かが起こる。》 氷の入ったグラスを片手に、柔らかな光を顔に当てられた俳優キアヌ・リーブス(Keanu Reeves)さんが実に若々しい。ガス・ヴァン・サント(G...
人新世のパンツ論⑬―腰パンとステテコの話
前回の危険な雰囲気から逃れて、今回の「人新世のパンツ論」は、平易な地平の、日常的な趣に心を溶かし込みたい。パンツの身だしなみとおしゃれを追求するテーマである。 こうした私の素朴な試みを応援してくれる友は、文芸の中にこそあった。朝日新聞の「...
千代田学園の「千代田祭」備忘録
母校の高校の創立20周年記念誌の記念撮影 私のうしろ隣りにいる友人が持っているのは雑誌『ぴあ』 一昨年の12月に母校の工業高校の創立20周年記念誌(1990年)を断舎離した際、その“記念写真”をデジタル・アーカイブして発見したのは、友人が...