時事

写真・カメラ

イッピーの女

72年生まれの私にとって、“1970年”という年は未知なる憧憬度の濃い年である。 大阪万博のあった年――というのは幼い頃からだいぶ擦り込まれていて、高校時代の数学の先生からは、それとは裏腹に、“よど号ハイジャック事件”の話を何度も聞かされて...
ゲーム

諸井さんの「ピタゴラスの星」

ひどく眠い目を擦ったが、その新聞の文字に間違いはなかった。《諸井誠さん死去》 現代音楽の作曲家、諸井誠さんが今月2日、間質性肺炎で亡くなられた。諸井さんは旧東京音楽学校を卒業後、黛敏郎氏などと《電子音楽》や「ミュージック・コンクレート」の手...
スポーツ

AERAと小橋建太

【週刊誌『AERA』の1ページを飾った小橋建太】 去る6月10日。書店に並んだ週刊誌『AERA』の表紙を飾ったのは、剥き出しの粗いピクセル画の本田圭佑選手で、《本田「世界一」への道》というワードがひっそりと明朝体で加えられていた。 もちろん...
文学

むごさの堂々めぐり

ちあきなおみさんが歌う曲「夜間飛行」にしんみりと耳を傾け、不思議な物悲しさを覚えながら、おもむろに酒を口に含む夜。私は《残酷》という言葉を想像した。 この場合の、《残酷》さは、女の側にあるのか、あるいは男の側にあるのか。曲の歌詞(「夜間飛行...
音楽

蛙の夜回り

【土浦市営球場の手動式スコアボード(卒業アルバムより)】 春の高校野球のシーズンでメディアは沸き立っているが、野球音痴の私には、“野球”(あるいは“Baseball”)と聞いてあまり心ときめくものがない。そんな私でも時には、ある種の懐かしさ...
スポーツ

チェリャビンスクの町を襲った隕石

怖いイラストに怯えながら読んだ『宇宙と星のふしぎ』 昭和50年代、小学生の頃に通い詰めた書店の児童書のコーナーには、あるいくつかのシリーズ本で埋め尽くされていた。学研の図鑑シリーズや小学館の学習百科図鑑シリーズ。他にも小学館コロタン文庫シリ...
文学

漱石のこと〈三〉

「首縊りの力学」の話題に引き込まれて、先月から『吾輩は猫である』を読み耽っていると、年を明けた朝日新聞の記事に漱石の話題が掲載された。  《我が輩の寄稿である 漱石全集未収録 伊藤博文暗殺に「強い刺激」》(2013年1月7日付朝日新聞朝刊)...
旧ブログ

伝わってこない怒り

※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2011年12月20日付「伝わってこない怒り」より)。 師走の忙しさにかまけて、ここ2週間ほど、朝は新聞の見出しを大雑把に読む程度でやり過ごしていました。ニュースを「読む」より「...
学校

世紀の火

※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2011年12月8日付「世紀の火」より)。 茨城県下の地方銀行・常陽銀行の小冊子に、『常陽藝文』(財団法人・常陽藝文センター発行)というのがあります。この12月号の特集「校歌の描...
文学

『東京人』と震災

※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2011年8月21日付「『東京人』と震災」より)。 雑誌『ぴあ』の休刊には〈うーん、まあそうだろうなあ〉と私は構えられたけれども、もしもこの雑誌が休刊、あるいは廃刊という話になっ...