ミュージアム

ミュージアム

大阪万博と音響彫刻のこと

【朝日新聞朝刊5月27日付より】 久方ぶりに個人的な“大阪万博”熱が再燃するような、そんな興味深い新聞記事に出合い、そのクラウドファンディングの主旨に賛同し、些かの支援の企てをウェブ上で取り計らった。このネット出資が功を奏するかどうかは現時...
ミュージアム

銅鐸と勾玉―東京国立博物館

【東京国立博物館・平成館の考古展示室】 去る4月4日。すっかり青空が広がり、上野の恩賜公園の桜の花がほぼ満開に咲き乱れたその日、私はなんとも久しぶりに東京国立博物館(略して東博)を訪れた。確か昨年訪れたのは8月の特別展『古代ギリシャ―時空を...
文学

人生の明暗と描かれる夢―『星に願いを、そして手を。』

【青羽悠著『星に願いを、そして手を。』】 先月、ちょうど私の手元に、青羽悠著『星に願いを、そして手を。』(集英社)の分厚い単行本が届いた頃、集英社のPR誌『青春と読書』3月号にて、青羽悠と朝井リョウの対談が掲載されているのを知った。この同社...
写真・カメラ

『洋酒天国』とアメリカの古い家

【『洋酒天国』第20号】 酒の善き友、壽屋(現サントリー)のPR誌“ヨーテン”。《女房は死んだ、おれは自由だ! これでしこたま飲めるというもの。 今までは一文無しで帰ってくると 奴の喚きが骨身にこたえた》というボードレールの「悪の華―人殺し...
写真・カメラ

石内都―Infinity∞

【写真集『石内都 Infinity∞ 身体のゆくえ』】 私がトノ・スタノの作品が観たく、『暗がりのあかり チェコ写真の現在展』が催された東京・銀座の資生堂ギャラリーへ訪れたのは、もう6年も前のこと。それは2010年8月であった(当ブログ「暗...
ゲーム

『ポートピア連続殺人事件』の時代

【1983年発売『ポートピア連続殺人事件』(エニックス)】 1983年、私が小学5年生の時、猛烈に夢中になったゲームがある。PC-6001版の『ポートピア連続殺人事件』(エニックス/作者・堀井雄二)である。このゲームの概要については、5年前...
テレビ

藤城清治の影絵―聖フランシスコ

【銀座・教文館『藤城清治影絵展』】 この世は《光》と《影》に満ち溢れているのにそれに気がつかない。気にも留めないことがある。何かを照らし浮かび上がらせ、何かを隠し暗闇にするということ。 幼少の頃、初めて映画館で映画を観た時、後方から延びた煌...
ミュージアム

天正遣欧少年使節―伊東マンショ

【東京国立博物館『伊東マンショの肖像』】 己の中でそっとしておけなくなった思い、煩悶、悲しみ。拙くともそれらを言葉にし、じっと受け止めて対話してくれる誰かが今、いて欲しい――。20代の頃、そうしてふらふらと立ち寄った上野の博物館の薄暗い展示...
科学

恋とK先生と牧野富太郎

【『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』(平凡社)】 私が植物学者の牧野富太郎という人を知ったのは、小学4年生の時である。 学校の図書室にあったポプラ社の児童向け伝記全集で、牧野富太郎の本を開いて私は驚いた。そこで見たのは、凄まじい写真であった。そ...
飲み物

ぼうしと洋書の気儘な買い物を

【朝日新聞朝刊5月8日付、サントリーの広告より】 帽子でおしゃれするという感覚を、身につけていなかった。家族アルバムの中に眠っている自分の幼年期のスナップ写真には、帽子をかぶった姿がいくつかあって、無意識にかぶっていた、かぶらされていたのだ...