ミュージアム

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黒田清輝―赤き衣を着たる女

【東博『黒田清輝―日本近代絵画の巨匠』】 先月の19日、上野・東京国立博物館にて『生誕150年 黒田清輝―日本近代絵画の巨匠』を観た。 良く晴れた午前。新緑に満ちた公園を抜けて東博の敷地に入り、ユリノキを見上げたその足で平成館に向かうと、彼...
美術

見返り美人のこと

【左2枚が「見返り美人」。右2枚は歌川広重「月に雁」】 日本美術史において美人画の最高傑作というものが何であるか、私は知らない。考えたこともなかった。ただし近頃何故か、美人画と称される絵画に出くわす機会が多い。無論、最高傑作などという商業性...
写真・カメラ

乾板写真―家族の肖像〈1〉

【デジタル化した乾板写真①】 確か5年ほど前、伊豆・下田の寝姿山にある蓮杖写真記念館を訪れたことがある。下岡蓮杖は幕末期の商業写真師の祖として知られ、記念館では蓮杖が撮影した写真の他に、当時の貴重な蛇腹写真機や、コダックやペンタックス、ハッ...
文学

冬牡丹への懸想

【水舎門をくぐれば東照宮。そしてぼたん苑】 真新しい新潮文庫で漱石の『行人』を読んだのは、“昨年”のこと――と思い込んでいて直ちにツイッターで確認したところ、それは間違いで一昨年の秋であったことに気づいた。  時間経過の感覚が歳をとる毎に短...
ミュージアム

レンブラントを愛した中村彝

いきなり蛇足になるが、昨年の夏、梶井基次郎の「闇の絵巻」を読んでいて、私自身の幼い頃のある記憶が甦ってきたことがあった。 ――虫のざわめきが微かに聞こえる夜。踏切の前で停止する母の自転車の後部に乗っていた幼少の私は、ふと見上げた。踏切の電灯...
スポーツ

安井誠一郎像と校歌

【東京文化会館の安井誠一郎像】 上野の恩賜公園を訪れれば、東京文化会館のロビーで休憩がてら、おもむろにコンサートのフライヤー群を漁るというのが、その都度の自分の音楽的昂揚度を測るバロメーターになってしまっている。要するに其所は自分にとって落...
ミュージアム

兵馬俑に出会う

【東博にて。『始皇帝と大兵馬俑』】 1月7日、“博物館に初もうで”に行った。私はほぼ毎年のように東京・上野公園の東京国立博物館を訪れる。 正月の特別公開である葛飾北斎の冨嶽三十六景(凱風快晴、山下白雨、神奈川沖浪裏)と狩野山雪の猿猴図は間近...
テレビ

『洋酒天国』と赤玉パンチ

【『洋酒天国』第22号】 子供の頃、洋酒に憧れ、大人になったらそれを絶対呑んでみたいと思う酒が2つあった。自宅の食器棚の高い所に置かれていた、緑色の酒=サントリーの“MIDORI”(メロン・リキュール)。そしてテレビ・コマーシャルを見て憧れ...
文学

ボマルツォの怪物

【マンディアルグ著『ボマルツォの怪物』より】 私は中学生時代に仲間内で、トランスミッターを使ってラジオ放送ごっこをやっていた。 そもそも当時(1980年代後半)、夏期の海水浴場などでミニFM放送というのが流行っていたのを知って、それを真似て...
ミュージアム

小学4年社会のハイトップ

【1982年に買った旺文社の参考書】 学生時代、参考書を買い込んで予習復習の猛勉強した、という経験がほとんどない。不真面目一辺倒。だから成績なんて上がらない。 ただし一時だけ、例外があった。小学4年。その時だけ意欲があって、小学4年時(19...