教科書のこと
ミュージアム
『洋酒天国』と律儀な真鍋氏
【『洋酒天国』第41号】 いきなりでなんだが、まずは『洋酒天国』の「三行案内」。 《瑞典製スポーツ車サーブ92急譲五人乗銀緑新、機械快調車検35年2月12万電話静岡②XXXX木崎》 いつもながらこの「三行案内」の切り詰め言葉に感心する。...
夢見心地な表慶館
【東京国立博物館・表慶館】 その敷地に一歩踏み入ると、こんもりと黄葉に色づいたユリノキが目に入り、こんな大柄な、まるで手編みのセーターを着込んだようなユリノキの姿を見たのは、まったく久しぶりのような気がした。安堵の瞬間である。 つい一昨...
サン=サーンスの『動物の謝肉祭』
私にとってのレコード鑑賞の原点――すなわちクラシック音楽における原初体験は、『原色学習図解百科』(1968年学研)第9巻[楽しい音楽と鑑賞]という一冊であることは、このブログでもたびたび触れている(当ブログ「旧東京音楽学校奏楽堂のこと」参照...
バルテュス展―無垢なる目撃
日頃、《音楽を演奏する》という一括りのありきたりな言葉に囚われすぎると、その本質を見失うことがある。 そもそも《音楽》を《演奏する》とは何であろうか。 ある空間における時間軸に沿った出音の集合体――その密と疎の波動が三次元で人間の聴覚に...
津軽三味線
私の小学生時代、午前で下校になる土曜日の昼食は、母親の作ったチャーハン、そして日曜の朝食は町の人気パン屋で買ってきたコロッケパンを食べる、というのが毎週の定番のようになっていた。 その土曜、チャーハンを食いながらNHKの邦楽中継などをBG...
秘密を覚える年頃
【箱根で買った秘密箱】 ついこの前、Amazonで箱根名産の寄木細工を偶然閲覧していて、あるテクストに気づいた。〈21回仕掛けのひみつ箱ですが、さらに1回の隠し部屋があります〉。 あれは確か私が小学生の時、箱根への修学旅行の土産に自ら買...
かまちの青春とBEATLES
【山田かまち『17歳のポケット』(集英社)】 昨年の11月、マッカートニーの「OUT THERE JAPAN TOUR」東京ドーム公演で、一際印象的だったのが、「Eight Days A Week」の演奏。このBEATLES全盛(1964...
「雪」という唱歌
個人的に最近、文部省唱歌に関心を寄せている。私の中の思い出として、電子音楽と文部省唱歌が切っても切れない関係にあって、そのあたりの思い出話は、ホームページ上の「PC-6001とがっこうのうたの話」で述べてみた。 また昨年では、急に懐かしく...
漱石本の装幀
【初版『漾虚集』の装幀(レプリカ)】 「装幀」(ソウテイ)という言葉を辞書で引いてみる。 《書物を綴じて、表紙・扉・カバー・外箱などをつけ、意匠を加えて本としての体裁を飾り整えること。また、その意匠。装本》 (『大辞林』[第三版]より引用...
ユリノキ先生
【ユリノキの黄色い花(東博)】 ユリノキの花片をじっくりと見るのはほとんど初めてである。こんな表情を見せるユリノキの印象は、私の中では今までなかった。 つい先日、新聞の記事で、水戸市植物公園に咲くユリノキの花のことを知った。学名「Lir...