文学

伴田良輔の『眼の楽園』―最後尾の美学

【伴田良輔著『眼の楽園』を開けば、そこには美しい女がいた…】  「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉がある。グレシャムの法則と、辞書に出ている。  私がこの言葉を知ったのは、司馬遼太郎著『愛蘭土紀行Ⅰ』(朝日新聞社)であった。司馬さんは、学校...
ビジネス

坂井清昭の『アメリカの新商売』のこと

【これは面白い! 坂井清昭著『アメリカの新商売』】  去年だったか一昨年だったか、KKベストセラーズの既刊目録を眺めていて、〈うむ? これは?〉と思う本に出くわした。坂井清昭著『アメリカの新商売 日本でやればすぐに儲かる』(1971年初版)...
文学

伊丹十三の『ヨーロッパ退屈日記』とペタンク

【伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』より「ペタンクと焙り肉」】  パリのホテル「カリフォルニア」の、バーテンがつくる「ドライ・マルティニ」は、《パリ一番のほまれ》であると、伊丹十三氏は『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)にそう記している。 《大き...
文学

残されたメモ―バグる世界

【ザッカーバーグ氏の桃源郷メタバースは何処へ?】  私は日頃、メモ魔である。本を読みながら、新聞を読みながら、映画鑑賞をしていながら、なんとやらのメモをとることが多い。すなわち、衣食住の根幹を支えているのが、このメモのたぐいであり、夕飯のメ...
写真・カメラ

真昼の心霊写真

【写っているのは美しい女性なのか?】  思いがけず、身の回りの物品の“断捨離”(だんしゃり)などをして、かつて思い入れのあった品々をざっくばらんに処分したりしたのだが、その勢いに煽られて、ちょっとばかり大きな所有物を処分するまでに至った。先...
ゲーム

『ウォー・ゲーム』とコンピューター侵入事件

【映画『ウォー・ゲーム』のパンフレットの表紙。二人の顔が画面に映った顔と違う】  かつて、パソコンマニアの高校生が、軍のホスト・コンピューターのネットワークをハッキングし、アメリカと旧ソ連の全面核戦争を引き起こしかねない事態に陥らせた――と...
音楽

コロナ禍の前途を見据えて

【『Sound & Recording Magazine』2020年6月号より】  コロナ禍がそれぞれの活動家にどのような影響を与えたかを振り返ることは、無益ではないはずだ。一つは、民主主義の役割を果たし最善を尽くした例があり、一つは、民意...
コンピューター

果てしないツイッター論

【全世界のメディアで報道されたマスク氏のツイッター買収騒動】  SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でインターネット上の個人・企業その他の投稿の場であるツイッターについて、ここ1年くらいに思っていたことを殊更吐き出してみようかと...
音楽

「ビューティフル・ネーム」と国際児童年

【タケカワユキヒデ率いるゴダイゴの「ビューティフル・ネーム」】  幼年時代に“英語の混じる歌”を違和感なく歌えたのは、姉のおかげである。  まだ保育所に通っていた頃、テレビドラマ『西遊記』(主演は堺正章、夏目雅子、岸部四郎、西田敏行)のエン...
写真・カメラ

五味彬の『YELLOWS Americans 1.0』

【五味彬『YELLOWS Americans 1.0』】  90年代に一世風靡したヌード写真集の伝説的至宝、写真家・五味彬氏の“YELLOWS”シリーズについて永らく追い続け、前回は中国人女性版『YELLOWS 3.0 China』を取り上...