ちくま

写真・カメラ

『洋酒天国』とアメリカの古い家

【『洋酒天国』第20号】  酒の善き友、壽屋(現サントリー)のPR誌“ヨーテン”。《女房は死んだ、おれは自由だ! これでしこたま飲めるというもの。 今までは一文無しで帰ってくると 奴の喚きが骨身にこたえた》というボードレールの「悪の華―人殺...
写真・カメラ

魯迅の『藤野先生』

【岩波『図書』6月号「藤野先生の『頓挫のある口調』について」】  先月、岩波書店PR誌『図書』6月号の、三宝政美著「藤野先生の『頓挫のある口調』について」を読んだ。私は感動のあまり涙がこぼれそうになった。『藤野先生』は魯迅の代表作であり、そ...
写真・カメラ

「オスの戦略 メスの戦略」を考える

【筑摩書房の高校国語教科書『新現代文』】  国語教科書を読むことが好きである。いつだったか入手した2005年発行の高校国語教科書『新現代文』(筑摩書房)はすっかり手に馴染んで、まるで自分の高校時代の教科書であったかのような錯覚すらある。画家...
写真・カメラ

A子と教科書と魯迅

【魯迅を読むために開いた光村図書の国語教科書】  近頃、魯迅を読み始めていて、自宅の書棚にあった古い国語教科書に手が伸びた。  その所作は我ながら電光石火の如きであった。この国語教科書に、魯迅の作品がもしかしてあるのではないかというのは、な...
科学

恋とK先生と牧野富太郎

【『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』(平凡社)】  私が植物学者の牧野富太郎という人を知ったのは、小学4年生の時である。  学校の図書室にあったポプラ社の児童向け伝記全集で、牧野富太郎の本を開いて私は驚いた。そこで見たのは、凄まじい写真であった...
写真・カメラ

芥川龍之介の『蜜柑』を読んで

【筑摩書房の芥川龍之介全集より『蜜柑』】  芥川龍之介という人の作品は、それこそ太宰治と同じくこぞって学生に読まれやすい性質がある。この知名度の大きさは、作家にとって、いや作家とその作品を十分に理解する上で、ある種の先入観に侵されやしないか...
ミュージアム

兵馬俑に出会う

【東博にて。『始皇帝と大兵馬俑』】  1月7日、“博物館に初もうで”に行った。私はほぼ毎年のように東京・上野公園の東京国立博物館を訪れる。  正月の特別公開である葛飾北斎の富嶽三十六景(凱風快晴、山下白雨、神奈川沖浪裏)と狩野山雪の猿猴図は...
文学

リルケの駆け落ち話

【またもや登場の高校国語教科書『新現代文』】  馴染みの薄い作家を読むと、ゾクゾクとするものを感じる。  この場合の馴染みが薄いとは、存在を知っていながらもわざと遠慮して、理解を恐れ読まずにいた、という意である。    以前ここで書いたこと...
音楽

キュレーションの時代とディジー・ミズ・リジー

【ディジー・ミズ・リジー日本公演告知のフライヤー】  昭和56年4月23日、プロレスラー・初代タイガーマスクのデビュー戦(対ダイナマイト・キッド戦、場所は東京・蔵前国技館)でタイガーマスクがあるロックバンドの生演奏に合わせてリングに入場した...
文学

「ささやかな時計の死」に関するささやかな雑感

またもや“時計”にまつわる話である(当ブログ2013年8月13日付「パタパタ電波時計と学習教材のこと」、同年8月15日付「時計と時刻の話」参照)。   【高校国語教科書の中の「ささやかな時計の死」】  2005年発行の高校国語教科書『新現代...