新潮文庫

飲み物

ラフロイグのスコッチ

【ラフロイグの10年物】  とある英字新聞で、“like a dog with a bone”という慣用句を知った。根気強い、粘り強い、という意。その新聞では、ある映画を紹介していて、“like a dog with a bone”はその映...
文学

三島文学と『花ざかりの森』

【新潮文庫『花ざかりの森・憂国』】  私にとって2017年を新しく迎えるということは、演劇『金閣寺』に出会うということとほぼ同義であった(演劇『金閣寺』公演については、当ブログ「演劇『金閣寺』追想」参照)。こうした刺戟的な演劇と文学への《邂...
写真・カメラ

チチ、カエルの想い出

文化祭シーズンたけなわと言うべきなのだろうか。先日、新聞で茨城県の「県高校総合文化祭」開会式が水戸の県民文化センターでおこなわれたという記事を読んだ。  総合文化祭いわゆる総文祭は、10月から11月にかけて、県内の各高校文化部が水戸市やつく...
文学

サネアツの『友情』

【武者小路実篤『友情・愛と死』角川文庫】  先月末、朝日新聞の記事を読んで武者小路実篤の『友情』をふと思い出した。あまりに長らく忘れ去っていた小説を思い出した、という感がある。武者小路実篤『友情』――。その新聞記事は、「文豪の朗読」を聴くと...
写真・カメラ

『洋酒天国』とブラッディ・マリー

【『洋酒天国』第16号】 《良馬は決してつまづかず 良妻は決して不平をいわず 良酒は決して宿酔しない》  そんな不遜(?)なアイルランドの俚諺で始まる『洋酒天国』(洋酒天国社)第16号は、昭和32年8月発行。表紙は泉和助さん。いきなり揚げ足...
文学

冬牡丹への懸想

【水舎門をくぐれば東照宮。そしてぼたん苑】  真新しい新潮文庫で漱石の『行人』を読んだのは、“昨年”のこと――と思い込んでいて直ちにツイッターで確認したところ、それは間違いで一昨年の秋であったことに気づいた。    時間経過の感覚が歳をとる...
写真・カメラ

司法試験とゴウカクリカタと漱石

【2015年12月28日付朝日新聞朝刊より、趙友相さん】  昨年の12月。新聞を読んでいてたまたま目に付いた青年の服装が、実に清廉さを帯びていて美麗だと思った。カジュアルなのかフォーマルなのか。ちょうどそんなようなカジュアルの黒色のテーラー...
写真・カメラ

「ささやかな時計の死」に関するささやかな雑感

またもや“時計”にまつわる話である(当ブログ2013年8月13日付「パタパタ電波時計と学習教材のこと」、同年8月15日付「時計と時刻の話」参照)。 【高校国語教科書の中の「ささやかな時計の死」】  2005年発行の高校国語教科書『新現代文』...
スポーツ

漱石『こころ』の身体性について

【夏目漱石『こころ』】  夏目漱石の小説を読み終えると、いつも雑駁とした気持ちに駆られる。様々な思念が頭をよぎりすぎて、判別しがたい感情の複雑な振幅にしばしの眩暈を覚える。  最初の眩暈こそ、高校時代に読んだ漱石の『こゝろ』(以下『こころ』...
文学

私の書肆文芸論

日本の書店は文芸たり得るか。  書店における「ネット対リアル店舗」の競争の激化は、それ一つを俯瞰すれば、文化史的に書店謳歌の時代を顕しているとも言える。  敢えて私の独断で具体例を出してしまえば、それはAmazon対丸善&ジュンク堂対紀伊國...