『ムンメル』のこと
舞踏
『地下演劇』とミュージカル『ヘアー』
【編集人・寺山修司+芥正彦の演劇理論誌『地下演劇』第3号】 自宅の室内にて、溢れかえって高く積み上げられていた書籍群の底部から、ある一冊の本――これは以前、古書店で何の気なしに買った昭和のカルト雑誌――が掘り起こされ、それを開いてパラパラと...
よみがえる『洋酒天国』―ニューヨークの酒場
【新しく入手した『洋酒天国』第2号。表紙は柳原良平】 『洋酒天国』の第1号から第61号まで全号踏破し、昨年の11月、感極まって「プレイバック―さらば洋酒天国、恋のソプリツァ」を書いた。既に私の手元には、蒐集したこれらの冊子群は一切無い。―...
ローリー・シモンズの水中バレエ
【水中に浮遊する人形。ローリー・シモンズの『ウォーター・バレエ』より】 “フェティシズムの化身”たる文筆家・伴田良輔氏の名著『奇妙な本棚』(芸文社/1993年初版)は、私の密やかな愛読書である。この本の中で、写真家ローリー・シモンズ(La...
細江英公の『シモン・ある私風景』〈2〉
【細江英公『シモン・ある私風景』より荒川放水路・四ツ木橋付近にて四谷シモン】 前回からの続き。細江英公の代表的な作品といえば、1961年の『おとこと女』、63年の三島由紀夫の身体による『薔薇刑』、69年の土方巽がモデルの『鎌鼬』、84年の...
細江英公の『シモン・ある私風景』〈1〉
【細江英公がとらえた四谷シモン。『シモン・ある私風景』より】 昭和の浅草の懐かしい風景写真に眼を奪われていると、そこに四谷シモンがいた――。写真家・細江英公の連作『シモン・ある私風景』(1971年)である。 私はこれまで何度も目にしてい...
『洋酒天国』―美しい食と酒の世界
【壽屋のPR誌『洋酒天国』第54号】 いつだったか知り合いからいただいた、オードブルならぬ「つきだし」のお裾分け――ちくわの穴っぽこに柴漬けの茄子を詰めた――はたいへん美味かった。当然、酒の肴にしたかったのだけれど、あいにく酒を飲む場では...
「聴く演劇」のニヒルなリアリズム
【2020年1月9日付朝日新聞夕刊「耳澄ます演劇がもたらす再認識」】 演劇にまつわる“個人的なこと”を先に書いてしまおう。 2015年頃より、《舞踏》という形態に関心が及んで、その資料の一環として、ベルリンの演出家で振付家であるサシャ・...
細江英公と『洋酒天国』―第46号再び
【壽屋のPR誌『洋酒天国』第46号。イラストは柳原良平】 当ブログで『洋酒天国』を初めて紹介したのは、9年前の2011年7月。月日の経つのは早い。それ以来、不定期で各号を紹介し続けているが、未だ完結をみない。『洋酒天国』は昭和30年代に第...
レトロスペクティヴ―私立探偵・濱マイク
【映画『遙かな時代の階段を』のDVD】 もしこの映画を小学生の頃に観ていたとしたら、〈僕も私立探偵になりたいなー〉と本気で思ったに違いない。…な、わけねーだろ!と通りすがりの人にツッコミを入れていただきたいのであるが、林海象監督の1994...
武満徹―暗い河の流れに
【武満徹の随筆「暗い河の流れに」】 先月末の当ブログ「大阪万博と音響彫刻のこと」で記した、1970年大阪万博・鉄鋼館におけるフランソワ・バシェの「音響彫刻」に関して、あらためてここでご報告したいことがある。「音響彫刻」復元に向けてのクラウ...