透視開発プログラム

※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2010年2月8日付「透視開発プログラム」より)。

 小学5年か6年の頃の話です。誰かが教室に中岡俊哉著『恐怖の心霊写真集』を持参した時のこと。
 その一冊の本の前に、ほぼクラスメイト全員が集まって顔を乗り出し、1ページずつめくっては女子児童の黄色い悲鳴が上がる始末。もちろん男子も怖がりました。屋外の雨雲のせいで教室が暗かったのですが、それだけのことで誰かが、「電気点けろ!」と、まるでヤクザの脅しに近い怒号(全然心霊とは関係ないのに)。はっきり言って、それ以来学級では大心霊ブームになってしまい、てんやわんやの大騒ぎになりました。
 まあ、当時は世間でも、それなりのオカルトブームだったのかもしれません。心霊、超常現象、UFO、超能力。
 クラスのある友人がそういうオカルトに強い関心を持っていて、「超能力研究会」を作ろうと言い出して、男女5人くらいのサークルを作ったことがあります。個々の霊能力や超能力を開発しようという目的。半ば私は、大好きだった女の子が入ってくれたので、その子の家で会が開かれ、いっそう仲良くなれることの方が嬉しかったのだけれど…。
 ともかく私は、その子が自分の家に来てもらうために、PC-6001で何か超能力に関するプログラムを作って、喜んでもらおうと考えました。
 最初は、超能力研究会の「名簿プログラム」。
 画面の上部に、ひらがなで、[ちょうのうりょくけんきゅうかい]と表示させ、ガーンと何かおどろおどろしいサウンドを鳴らした後、5人の名前が1名ずつ表示されるだけという、実に空疎で他愛のないプログラム。
 その次に考えたのが、「透視開発プログラム」。ESPカードというのがあって、これを模したグラフィックを表示させる前に、次に何が表示されるかを開発者に“透視”してもらいずばり当てるというもの。何度か繰り返して正解率を最後に表示させる…。これは当時、作れませんでした。ESPのグラフィックを表示させるのが難しくて。でも、今なら作れるかなあとは思います(後々やってみようかと)。
 あらかじめESPの数種のグラフィックをデータ化させサブルーチンとする。メインルーチンとしては、ESPをランダム関数であらかじめどれを表示させるかを決めておき、開発者に何が表示されるか透視してインプットしてもらう。
 ランダム関数で決定していたESPを表示させ、それとインプットのそれとを照合して当たっているか外れているかを表示させる。そして正解数をカウントする。あとはメインルーチンを何度か繰り返し、最後に全体の正解率を計算して表示する――。
 さて、超能力研究会ですが、たぶん2回ほど集まっただけで自然消滅しました。クラスのオカルトブームも急速に冷えて、中岡俊哉著の様々なオカルト本が売れていることを知っている者は、ごくわずかとなりました。

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