※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2010年3月10日付「わたしリカよ!」より)。
書棚から古い百科事典を取り出して、調べ事をしているうちに、記憶が一気に過去へと遡ったりして、「その頃」の記憶をゆるりと懐かしく思い出しました。手に取った百科事典については後日書こうと思いますが、「その頃」もそれを絵本を見るように夢中になって開いていたのです。
「その頃」とは、私が保育所に通う前の話なので2歳、3歳、4歳頃のことで、時代的には昭和50年(1975年)前後となります。
県営の団地に住んでいました。5階建ての5階。今もその団地は現存していますが、棟と棟の間にあった小さな公園――子供の遊び場は、今は団地居住者の専用駐車場と様変わりし、子供達が賑やかに遊んでいた面影は見ることができません。
さて、その5階の、隣室に住んでいた同い年くらいの女の子の記憶が蘇ってきました。
もうその女の子の名前は思い出せませんが、なんとなく顔は思い出せます。確か、我が家の古いアルバムの中に、その頃のちびっ子ショーで団地へ訪れた「ゴレンジャー」とのスナップ写真があったと思うのですが、その写真を見れば彼女が写っているかもしれません。
それはともかくとして、彼女がうちに遊びに来る時は、必ず「リカちゃん」も一緒なのです。
彼女が持ってくるリカちゃんのドールハウスを、うちの畳部屋にさっと広げると、途端に夢のような世界が広がった…のかもしれません。
彼女は当然、リカちゃん自身を演じたのに対し、私は何を演じていたのか? リカちゃんの恋人に扮したのか、父親か、兄か、弟か。
内線ボタン付きのピンクの電話(玩具の電話機!)でリカちゃんを呼び出すと、「わたしリカよ!」と言ったかどうか知りませんが、そのドールハウスのクローゼットの前で支度を済ませ、ドールハウスまで迎えに行った私のミニカーのクラウンに乗り込んだつもりになって、さて、リカちゃんと私は、どこへ行ったというのでしょう。
畳の節々を道路に見立ててミニカーを走らせ、どこかへピクニックを楽しんだのかもしれません。そうしてリカちゃんの家に戻ると、池にいるワニたちが彼女を襲おうとする(ゴム製のワニの玩具を使う。ワニを演じてわーわー騒ぐ)。
さあ、たいへん。
こんなところに住めないよ! ワニに食べられちゃうよ!
そうね、どこかへ引っ越そうかしら。
そうしようそうしよう。
リカちゃんはドールハウスの中に戻って、またまた身支度を済ませ、家の中に待機しました。
さあ、お引っ越しだよ!
私はクラウンを走らせると同時に、リカちゃんのドールハウスも一緒に引っ張って、さながらキャンピングカーのようにして部屋中を走らせます。
ねえ、どこまで行くの? 私はどこに住んだらいいの?
私が動かすミニカーとドールハウスを持つ両手があまりに勢いづいて、ドールハウスの中の家具がめちゃくちゃです。それどころか、リカちゃんが家から飛び出て部屋の端に吹っ飛んでしまいました。
ああ~~~いや~~~!。
…懐かしい。
最近は、「ミスタードーナツ」のドールハウスなどもあるのですね。昔とは違って、かなり精巧に出来ているようです。閉じるとテイクアウトボックス型になるなんて、おしゃれですね。小物も多そうです。
またリカちゃんを呼び出したくなりました(笑)。
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