※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2010年5月31日付「護国寺境内から」より)。
護国寺境内へ |
先週の火曜、目白台界隈を歩いた後、気持ちの良い日和だったので、護国寺を散歩しました。
目白台三丁目の夜寒坂を下り、護国寺へ向かう中途。日大豊山高・中学校のあたりで、生徒が先生に呼び止められて叱られているところを、巨躯な生徒4人が揃ってその先生に「オハヨウゴザイマス!!」と大声で張りながら交差していく光景を見、無性に新鮮さを覚えました。
護国寺の境内へ登り、豊島ヶ岡御陵を見渡していると、個人的に懐かしい風景を思い出しました。
子供の頃、私の住んでいる近所は、宅地造成の真っ只中で、雑木林を宅地に変え、大工さんらの職人気質のかけ声やトンカチで釘を打つ音、木材を並べてカランカランと木材が擦れ合う音が響いていました。
子供の目線から見れば、まるで森の中に点々と家が建てられている光景に見えたので、なんとなくロマンチックな気分になったものです。それだけ、当時は雑木林の面積がまだまだ広く、当然日光が当たりにくい薄暗い場所であったし、夜に歩けば真っ暗な地帯でした。
確かに、当時は雑木林の「岡」があった。そして「谷底」があった。あれから数十年、宅地造成が落ち着いた頃になると、雑木林の闇は消え、家々が並んでいるだけで、「岡」も、「谷底」も見えなくなってしまいました。
境内にて |
その懐かしい、こんもりとした雑木林の光景が、豊島ヶ岡御陵から眺めとよく似ていたのです。あまりの懐かしさで動揺し、すっかりその光景を写真に収めることができなかった、シャッターを押すことができなかった…。
あの頃、夏祭りの御輿を担いだ後、休憩がてら、かき氷を食っている最中、雑木林から無数の蝉の鳴き声が聞こえてきた…。
都会の町を歩いて、懐かしい風景に出合えるというのは、考えてみれば不思議なことです。
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