※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2011年5月27日付「旧東京音楽学校奏楽堂のこと」より)。
私が所有している古い百科事典に『原色学習図解百科』(1968年学研)というのがあります。幼年時代より親しんでいる百科事典です(百科事典については、このブログでも度々触れてきました)。『原色学習図解百科』の第9巻は[楽しい音楽と鑑賞]で、付録の6枚のEPレコードを聴きながら、クラシック音楽を楽しく学ぶ、という主旨になっていて、今でも私は枕元に置き、クラシック音楽を楽しむため、そして音楽の基礎を振り返るための愛読本としています。
さて、この本の巻末は「図説音楽年表」で、紀元前から1953年までの“音楽のうつりかわり”つまり音楽の歴史が、子供が読まれても理解できるような図説で解説してあり、大人でも読み応えがあります。
一昨日、上野公園を散策した際、ほとんど個人的に定番の散歩コースとなっているのが、公園の外れにある奏楽堂の辺り。「旧東京音楽学校奏楽堂」のことですが、木造建築で気品のある建物。
私が幼年の頃、その図説音楽年表の“近・現代の音楽”のページに、ある楽団と外国人指揮者を写した古びた写真が掲載されていて、なんとなくいつもそれを刮目していたのを憶えています。それが奏楽堂の音楽ホールでの写真だったのです。キャプションには《1904(明治37)年ごろの東京音楽学校の管弦楽団》と記されており、一番手前で髭を生やした外国人男性が腹の前で手を組み、足を交差させているのを見て、子供ながら〈一体この男の人は誰だろう?〉と謎めいた気持ちになっていました。
アウグスト・ユンケルという人でした。ホームページで同じ写真があるので確認できるでしょう。
散歩コースで毎回建物を眺めていながら、まだ一度も館内を見学したことがない奏楽堂。ちょっと恐れ多いという思いがあるためですが、今度は必ず入ってみたいと思っています。
第9巻は私の姉たちも小学校の教材として予習したのか、至る所に青色のマーカーが記されています。奏楽堂の写真の右側にある年表にも、ある西暦に丸がしてあります。
《1910年 ストラビンスキーのバレエ音楽「火の鳥」パリで初演
1914年 第一次世界大戦はじまる》
の2箇所。もし私が丸を付けるとするならば、
《1902年 ドビュッシーが歌劇「ペレアスとメリザンド」を作曲、印象派音楽を確立する》
になるでしょうか。
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