【『洋酒天国』第47号】 |
最近、我が『洋酒天国』コレクションをもう少し増強しようかしらん、などと閃いてオークション・サイトを検索してみた。しかし、出回っている“ヨーテン”の出品数の少なさに唖然とし、それもほとんど所有しているものばかりで、もはや“ヨーテン”の(これ以上の)入手は困難を極めた状況、と判断せざるを得なかった。故に貴重なコレクションであることを今更ながら認識する。ボロボロにならぬよう丁寧に扱わなければならぬ。
さて前回紹介した“ヨーテン”は、比較的硬派だった。したがって今回は軟派に偏りたいというか陥りたい。すなわち大人のお色気路線――。
昭和35年6月発行の『洋酒天国』(洋酒天国社)第47号はお色気ムンムンとまではいかないまでも、そこかしこにエロティックなジョークが鏤められている。毎号紹介されているカクテルも、今号は「フーラ・フーラ」。ヘルメスジン、オレンジジュース、ヘルメスのオレンジキュラソーを混ぜたカクテルで、一際オレンジ色が鮮やか。南国の美女を想い出させるとか。それはそうと、以下、少々大人向けの面白いジョークを引用しておく。
○洋天ジョークス【使用前、使用後】
《美容院で健康保持器のことが夫人たちの話題になっていた。雑誌によく出ている、例の使用前、使用後と二枚の写真を掲げて、使用者はこんなにフトッたと宣伝している器機のことである。
「あれは本当によく効きますわ。うちの主人もあれを使うようになってからとても調子がよくなりましたの。なんだか、ひとまわり大きくなった感じですのよ」
と、A夫人、しきりにらいさんしていると、今まで黙っていたB夫人、なにを勘ちがいしたのか、
「まあ、ステキじゃございません。それ、長くなるんですの? それとも太くなるんですの?」》
○醉族館
《近着のスエーデン映画「怒れる若者たちの遊び」の中に出てくる「ひざ開き遊び」、早速、隣家のS子にためしたら、どうしても開かない。そこで夜、酒場に行って、なじみのA子に試みようとしたら、拒否された。この結果、小生は隣家のS子と婚約することにした。ナゼだかお判りかな。拒否されたのを怒ったわけではありませんゾ》
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「私の選んだサケ⑥」のコーナーでは、映画俳優の二本柳寛さんが随筆を書いている。写真にあるボトルは、私もよく飲んでいるサントリーの“白札”である。二本柳さんはある一時期には必ず一種類の酒しか飲まないが、時期が過ぎると別の酒に移る飲み方を楽しんでいるのだという。専ら水割りだとか。
二本柳さんが出演した映画を調べてみると、私の知っている映画としては、岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』(1967年東宝)があった。
【ヌード・ピンナップ】 |
この映画は、昭和20年8月14日、旧日本軍が降伏し、天皇が玉音放送をするまでの1日を描いたドラマで、いかにして日本は終戦に至ったかの激動の―恐ろしく不穏な――1日を描いた、とても見応えある活劇である。二本柳さんはこの映画の中で、海軍軍令部の大西中将を演じている。その時の風貌を思い出してみれば、“ヨーテン”でグラスを片手にした彼はいかにも若い。7年後に自分があの大西中将を映画で演じることになるとは、想像すらしていなかったに違いない。
『洋酒天国』には、毎号、総天然色のどきついピンナップが附されている。色彩もその内容もあまりに大人的なのでこれまで紹介を避けてきたのだが、お色気無礼講をお許しいただいて、ブログに載せてみることにした。これこそ“ヨーテン”の真骨頂とも言えるのだが。
それは「miss typist 浜みなと」。こんな網タイツ姿のタイピスト女性を、いったい何処の会社で雇っていたのであろうか。浜みなとさんについても私は存じておらず、モデルさんなのか女優さんなのか、ちょっと分からない。
黒髪の美女。さしずめ“特殊”な社長秘書といった感じで、有能なのだろう。無論それは、夜のお話である。
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