原色学習図解百科

写真・カメラ

村上春樹とシューマンのこと

【村上春樹著「謝肉祭(Carnaval)」】 そこには、ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフ(David Fiodorovich Oistrakh)の重い表情の写真が載っていた。私は彼のその“眉間に皺を寄せた”重い表情から、目を離すこ...
性教育

家庭の医学―新赤本のこと

【“家庭の医学”という本は各種あれど、“新赤本”は保健同人社だけ】  昭和50年代初め、私がまだ幼少だった頃、団地住まい(当ブログ「ボクの団地生活」参照)の部屋の片隅で、真っ赤に染まった分厚い本を開いて眺めるのが、私は好きであった。それは、...
写真・カメラ

素朴な感傷―アルルの女

【幼い頃聴いていた「アルルの女」収録のレコード】  レコードが奏でる物悲しいメロディが、突如として想い出の地の記憶へといざない、可憐な少女の面影を重ね合わせる。かつて聴いていた古ぼけたレコードの「アルルの女」は、見上げるその建物の5階の、あ...
コンピューター

造形憧憬

【『原色学習図解百科』第10巻「新しい造形と美術」】  幼児教育されているという感覚は、当の幼児にはなかった。そこに広がっていた「世界」は、視覚としての娯楽、聴覚としての豊かな娯楽であった。親から与えられたわけではなく、団地の家の中を徘徊し...
音楽

グレース・バンブリーのカルメン

【グレース・バンブリーによる歌劇「カルメン」】  私のカルメン狂、カルメン愛――。  先日、東京・上野駅の不忍口を出てすぐのスペイン料理店Vinuls(アトレ上野1階)を訪れようとしたところ、あいにく手持ちの“時間”の余裕がなく、入ることが...
音楽

歌劇「カルメン」とその女

【本の中の歌劇「カルメン」についての解説】  3月8日は“国際女性デー”だそうで、朝から各々のメディアでその文字を拾っている。バレンタインデーのようなキュートさを装ったごろつきの商売っ気ではなくして、真の意味において、フェミニンという既成の...
写真・カメラ

ドビュッシーのClair de lune

【クラシック・レコード集「名曲鑑賞レコード」】  どんどんと子供の頃や学生時代の記憶が薄らいでいくような気がして、気が気でない。したがって憶えていることはどんどんと積極的に地道に書き留めていくしかない。書き留めておいたことが、後々の邂逅譚の...
写真・カメラ

「ラ・カンパネラ」の原風景

【貴重なレコード集「名曲鑑賞レコード」】  私の音楽体験の原風景は、幼年時代に聴いたレコードの数々である。そのうち、百科事典『原色学習図解百科』(1968年学研)の第9巻[楽しい音楽と鑑賞]には、クラシック・レコード集「名曲鑑賞レコード」(...
演劇

サシャ・ヴァルツの舞踏的世界へ

【サシャ・ヴァルツの『Körper』】  私の《演劇》への嗜好の意識は、若い頃の熱意からは考えられぬほど乖離していき、今となっては《演劇》でありながら《演劇》でないもの――に傾注模索しつつある。  《舞踏》である。私は意識の中で《演劇》を粉...
スポーツ

エンブレムと映画『東京オリンピック』

【映画『東京オリンピック』のDVD】  去る8月31日付朝日新聞朝刊に、1964年の東京五輪エンブレムを手掛けたグラフィック・デザイナー、亀倉雄策氏に関する記事が掲載された。《64年東京五輪 象徴する思想》というサブタイトルがいみじくも躍る...