岩波書店

音楽

老人と子供のポルカ

【左卜全とひまわりキティーズが歌う「老人と子供のポルカ」】 所有していたヴァイナル(レコード盤)が、家中を探しても、どうしても見つからない。いま私は、EP盤の「老人と子供のポルカ」(ポリドール)を探している。 これを歌っているのは、俳優の左...
写真・カメラ

細江英公の『シモン・ある私風景』〈1〉

【細江英公がとらえた四谷シモン。『シモン・ある私風景』より】 昭和の浅草の懐かしい風景写真に眼を奪われていると、そこに四谷シモンがいた――。写真家・細江英公の連作『シモン・ある私風景』(1971年)である。 私はこれまで何度も目にしていたは...
音楽

ジョセフィン・ベーカーではなかった愛の歌

【片山杜秀著「『聞かせてよ愛の言葉を』」】 今年の夏、とある随筆を読んでいて、見落としがたい重要な文章を発見した。専門家や知識人であればそれは、とっくの昔の既成事実に過ぎないのだけれど、私は今頃になってその事実確認と修正のたぐいを余儀なくさ...
ミュージアム

アラビアの道―東博・表慶館にて

【上野の東博・表慶館】 春の兆しを体感した2月末の穏やかな日、東京・台東区の東京国立博物館(通称・東博)におもむく。目的は、『アラビアの道―サウジアラビア王国の至宝』の観覧。東博の表慶館という趣のある場所で、人類の歴史と文明を遡り、アラビア...
文学

読書三昧―『源氏物語』というパンドラの箱

【12月号『図書』保坂和志「ようやく出会えた源氏物語」】 今年はのっけから本が増えて増えてならないのだ。自宅の蔵書が書棚に収まりきれず溢れかえり、あちこち本の塔(まるで卒塔婆のよう)ができて居処を狭くし、煩わしい。しかし、読みたい本が目の前...
映画

秘密を抱えた『櫻の園』

【映画『櫻の園』(1990年)のビデオ版パッケージ】 先日、新聞にて、「第41回全国高校総合文化祭」(みやぎ総文2017=総文祭)で催された高校演劇の総評なるものを読んだ。普段、商業演劇しか観ない人にとっては、学生演劇というのはとかく鬼門と...
飲み物

『洋酒天国』と歓楽の果てに

【『洋酒天国』第53号】 私事で恐縮だが、「二日酔い」という経験が乏しい。翌日まで「二日酔い」になるほど、酒を飲まない。悪酔いはあまりしない。だから「二日酔い」の経験について何か書こうと思ったのだけれど、どうも自分の身の話になってくれない。...
飲み物

『洋酒天国』と再びジンの話

【『洋酒天国』第12号】 今夏、大活躍したリオ五輪の選手団が帰国し、台風一過の穏やかな日光浴を愉しんでいると、どこかで秋の気配を感じさせてくれる今日この頃。夜な夜な酒も美味い、ということで2ヵ月ぶりのヨーテンを。  『洋酒天国』(洋酒天国社...
文学

魯迅の『藤野先生』

【岩波『図書』6月号「藤野先生の『頓挫のある口調』について」】 先月、岩波書店PR誌『図書』6月号の、三宝政美著「藤野先生の『頓挫のある口調』について」を読んだ。私は感動のあまり涙がこぼれそうになった。『藤野先生』は魯迅の代表作であり、その...
写真・カメラ

乾板写真―家族の肖像〈2〉

【デジタル化した乾板写真③】 前回からの続き。 私が入手した13枚の写真乾板は、明治40年頃撮影されたものと判断できた。が、元々の持ち主だとか撮影された人物の詳しいデータは、残念ながら取得できておらず、不明。もちろんこれらの乾板が、冒頭で述...