新潮社

映画

ニコラス・レイあちらこちら

【何度でも登場しますが、これが伊丹十三著『ヨーロッパ退屈日記』です】  興奮冷めやらぬまま――。 アメリカ大統領選でトランプ氏が返り咲いた一報が届いたが、そんなことで私が興奮していたのではない。 しかと心得て遠距離恋愛を構えるのなら、人生の...
文学

ブルーな春の星を書き替える

【たぶん私はこの本をなにがなんでも手放さないと思う】  ライ麦パンにイタリアンチーズをのっけて食べるところから始めようか。そうでないなら、ジェイ・マキナニー(Jay McInerney)のオフィスにある、コーヒーショップでテイクアウトしたコ...
書籍

伴田良輔「天国のフェイマス」

【伴田良輔著『愛の千里眼』(河出文庫)よりエッセイ「天国のフェイマス」】  およそ1年ぶりくらいご無沙汰して、伴田良輔著『愛の千里眼』(河出文庫/1991年初版)を手に取り、読み耽った。きわめて珍しいことなのだけれど、今頃になって、気にも留...
文学

日々の某と「新潮新人賞」の備忘録

【2024年5月2日付朝日新聞朝刊「米大学占拠 学生ら抗議のうねり」】  先日の「小説すばる新人賞」の例に倣って、ここでは「新潮新人賞」の応募規定を備忘録とする。『新潮』(新潮社)2024年7月号に掲載されていた「第57回 新潮新人賞応募規...
文学

三島由紀夫「言ひがかり的抱負」を読んで

【新潮社の文芸誌『新潮』2024年7月号】  埃を被ったボロボロの黒い函の四体が、書棚から外れた部屋の片隅に放置されてしまっている。永い月日が流れてこの状態にあった。 四体――それは紛れもなく、三島由紀夫の『豊饒の海』(全4巻)に相違なかっ...
文学

寺山修司の『青年よ大尻を抱け』〈二〉

【前回に続いて寺山修司の「青年よ大尻を抱け」】  前回からの続き。寺山修司著『書を捨てよ、町へ出よう』(角川文庫)「青年よ大尻を抱け」。  女性が感じるところの、「男性の性的魅力」に関する手痛い理屈は、単に、〈もっと大きなタマの持ち主になっ...
映画

漱石パスティーシュ

【問題作?とも言える映画『ユメ十夜』】  先日、大相撲の初場所で大関・稀勢の里が、自身における“悲願”の初優勝を成し遂げた。そうして連日、「日本人横綱が19年ぶりに誕生」という“歓喜”の話題を多くのメディアが取り上げた。私も長年、稀勢の里を...
文学

歌と朗読とかもめのジョナサン

【リチャード・バック著『かもめのジョナサン【完成版】』】  かもめのジョナサン。長らく書棚の飾り物と化していたこの小説を手にすることにしたのは、その“完成版”が国内出版されると広告で知ったからで、1974年版と“完成版”との差異を散読した上...
文学

再び『愛蘭土紀行』

幼少の頃よく聴いていたクラシック・レコードのジャケットやら解説のたぐいの写真などで、ロンドンを行進する軍楽隊の、その赤色と黒色の調和の取れた服装であるとか、別の写真におけるパリかどこかの街の、とある市民がフランスパンをハトロンの紙袋に包んで...