科学万博のダイエー館―13歳への未来
梶井基次郎
レンブラントを愛した中村彝
いきなり蛇足になるが、昨年の夏、梶井基次郎の「闇の絵巻」を読んでいて、私自身の幼い頃のある記憶が甦ってきたことがあった。 ――虫のざわめきが微かに聞こえる夜。踏切の前で停止する母の自転車の後部に乗っていた幼少の私は、ふと見上げた。踏切の電...
リルケの駆け落ち話
【またもや登場の高校国語教科書『新現代文』】 馴染みの薄い作家を読むと、ゾクゾクとするものを感じる。 この場合の馴染みが薄いとは、存在を知っていながらもわざと遠慮して、理解を恐れ読まずにいた、という意である。 以前ここで書いたこと...
檸檬とカルピスの包み紙
【梶井基次郎『檸檬』(角川文庫)】 筑摩書房の高校国語教科書『新現代文』で梶井基次郎の「檸檬」を読んだ。 この教科書は私が高校時代に使ったものではない。まだ10年前の新しい教科書だ。したがって「檸檬」のあちらこちらには、この教科書の以前...
檸檬と丸善
【筑摩書房の高校国語教科書『新現代文』】 京都がすっかり遠くなった。 私自身、2011年以降の音楽制作がかなり熱を帯びたものになってから、それ以前の〈気が向いたら京都へ〉という自然の思考回路がOFFになってしまっているのである。そんな中...