漱石

文学

『江戸川乱歩傑作選』より「赤い部屋」

【結局、県外の書店で買うことができた『小説すばる』】 当たり前のことを書くが、書店では本を売っている。その確固たる書店が、あちらこちらで閉店していると聞く。名の通った大手の書店さんですら店じまい、もしくは撤退しました、といったニュースを、私...
文学

朝井リョウの『生殖記』はナニを語っていたか

【はい、朝井リョウさんの『生殖記』読み終わりました】 当ブログの今月の投稿「私は朝井リョウの『生殖記』を読み始めるというのか」で予告したとおり、それから程なくして渦中の小説を読了し、今これを書いている。 朝井リョウ著『生殖記』(小学館)。 ...
テレビ

山田太一『岸辺のアルバム』―断絶の時代から

【自宅の書棚にあった『岸辺のアルバム』の文庫本】 人生の折り返し地点を過ぎると、若い頃に読んだ書物にもう一度ふれてみたくなるものである。 自宅にある書棚の一番奥に、本の背が鶯色から白く剥げ落ちてしまった文庫本が、一冊詰まっていた。10代後半...
写真・カメラ

志賀直哉の『清兵衛と瓢簞』

【志賀文学に初めてふれた「清兵衛と瓢簞」】 全く近頃、志賀直哉の文学作品にぞっこん惚れ込んでしまった――。 彼の掌編「范の犯罪」など、それは見事な文体である。ある若い中国人の奇術師が起こした事故(あるいは事件)から人間省察にいたる筆致は、日...
映画

新藤兼人監督の映画『心』

【新藤兼人監督の映画『心』(アートシアター・パンフレットより)】 今にして思えば、私が幼少期を過ごした昭和の時代(昭和47年以降の1970年代)には、独特の空気が漂っていた。ここでいう空気とは、時代の雰囲気、あるいは気配といっていいのだけれ...
美術

赤いパンツの話〈二〉

【ザミラ社の赤いパンツを穿いてアートワークのスチル撮影】 前回の赤いパンツの話の続き。今回は少々深い話で、長い。 たかがパンツ、されどパンツなのである。パンツを侮ること勿れ。パンツ(=アンダーウェア)というものは、穿いている本人と日常生活を...
文房具

京都へ―8年ぶりの鳩居堂

【旅の目的の半分は京都鳩居堂本店を訪れること】 4月17日、京都の街をぶらり散策した。お目当ては、鳩居堂本店と二条城を訪れること。日中のあいにくの曇り空から夕刻には雨が降り出したこの日、別段、私の心には、それを憂う気持ちはなかった。天候など...
文学

羊羹と『草枕』と私

【何度も読み耽っている漱石の『草枕』】 風邪をひいていたから、この前漱石山房記念館を訪れた序で、神楽坂の“物理学校”に寄ることができなかった。悔しい。“物理学校”と言えば、『坊っちゃん』の坊っちゃんである。坊っちゃんは東京物理学校出身で、現...
ミュージアム

漱石山房にたたずむ

【新宿区立漱石山房記念館】 東京はうららかな日和だった一昨日、今年9月24日に開館したばかりの――とは言いつつ、それから2ヵ月以上経過しているが――「新宿区立漱石山房記念館」(新宿区早稲田南町)を訪れることができた。 振り返れば2年前の秋、...
文学

思い切って森鷗外を読んでみよう〈二〉

【光村図書の国語教科書『国語3』】 中高生の「読解力」が不足しているという前回の話の続き。であるならば、思い切って明治の文豪・森鷗外の小説を読んでみようという魂胆である。 ごく最近の、中学3年の国語教科書、光村図書の『国語3』(平成28年2...