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角川文庫
岸本佐知子さんのアピヨンポンポン
【『ちくま』2024年9月号より岸本佐知子連載「ネにもつタイプ」】 これを書かずにいると、夜も眠れなくなる――と思ったので、書いておくことにする。 翻訳家でエッセイストの岸本佐知子さんが、筑摩書房のPR誌『ちくま』で「ネにもつタイプ」を...
開高健『開口閉口』―やらされることの美学〈2〉
【映画『ジャッカルの日』で殺し屋ジャッカルを演じたエドワード・フォックス】 前回からの続き。 フランス語にデジャヴュ(déjà-vu)というのがある。まだ見たはずのないものが、さも過去に見たような感覚を呼び起こされることの意で、既視感とか...
開高健『開口閉口』―やらされることの美学〈1〉
【清らかな自然に囲まれた山荘より】 ――こんな夢を見た。 人権擁護の活動家である私は、都会の喧騒を離れて、山荘にこもった。 夜な夜な、名前のよく知らない銘柄のスコッチを一杯飲む。すると、じんわりとした温かさが体を包み込んで、疲労感が一気に...
寺山修司の『青年よ大尻を抱け』〈二〉
【前回に続いて寺山修司の「青年よ大尻を抱け」】 前回からの続き。寺山修司著『書を捨てよ、町へ出よう』(角川文庫)「青年よ大尻を抱け」。 女性が感じるところの、「男性の性的魅力」に関する手痛い理屈は、単に、〈もっと大きなタマの持ち主になっ...
寺山修司の『青年よ大尻を抱け』〈一〉
【Nittakuの卓球ボール。公認球】 《いまの男の子たちって、ピンポン・ジェネレーションね》 ピンポンって、《タマが小さいでしょう》。 寺山修司著『書を捨てよ、町へ出よう』(角川文庫)の「青年よ大尻を抱け」の冒頭は、いきなり、タマの話...
寺山修司―三分三十秒の賭博とアスファルト・ジャングル
【寺山修司の『書を捨てよ、町へ出よう』角川文庫】 今年に入って、寺山修司の文筆と映像の世界にどっぷりと浸かり始めた。この世界の、至る所から漂う臭気とは、いったい何か――。それは決して花の香りでも、柑橘系の香りでも、ない。乾いた土に雨が降り...
ぐだぐだと、寺山修司と新宿風月堂の話
【福島菊次郎の写真集より60年代の新宿風月堂】 新宿…シンジュク…Shinjuku――と、かの時代の新宿に思いを馳せてみる。1960年代から70年代にかけての新宿。その頃私はまだ生まれていなかったから、1980年代以前の新宿の空気を知らな...
サネアツの『友情』
【武者小路実篤『友情・愛と死』角川文庫】 先月末、朝日新聞の記事を読んで武者小路実篤の『友情』をふと思い出した。あまりに長らく忘れ去っていた小説を思い出した、という感がある。武者小路実篤『友情』――。その新聞記事は、「文豪の朗読」を聴くと...
檸檬とカルピスの包み紙
【梶井基次郎『檸檬』(角川文庫)】 筑摩書房の高校国語教科書『新現代文』で梶井基次郎の「檸檬」を読んだ。 この教科書は私が高校時代に使ったものではない。まだ10年前の新しい教科書だ。したがって「檸檬」のあちらこちらには、この教科書の以前...
漱石と読書感想文
一纏めに、私が学生時代(小学校から専門学校まで)に書いた、学校提出作文としての読書感想文について記憶をたどってみた。 小学校での、夏休みの宿題として提出を要求される読書感想文にはそれなりに風情があった。――夏休みの期間中、学校指定の本(文...