※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2010年10月5日付「江戸川乱歩と図書室の話」より)。
一昨日、CS放送で『江戸川乱歩「吸血鬼」より 氷柱の美女』を鑑賞しました。
これはかつてテレビ朝日系列の「土曜ワイド劇場」でシリーズ化されていた、江戸川乱歩の名探偵・明智小五郎が登場する“美女シリーズ”の第一作目で、1977年8月20日放送の90分ドラマです。
1977年というと昭和52年ということで、私自身は当時まだ5歳です。その頃、このドラマを観たかどうかは記憶にありませんが、この美女シリーズは何度も再放送されているので、小学生で観たのは確実で、私が初めて江戸川乱歩という人を知ったのは、おそらくこのシリーズがきっかけだったかと思われます。
『氷柱の美女』の内容については、ブログ[レトロな雑記帳]さんの批評が面白いので、そちらにお譲りします(※現在[レトロな雑記帳]は削除されている)。
私の小学校の母校では、当時(昭和50年代)、図書室の書棚の一角に、ずらりと並んだポプラ社の江戸川乱歩「少年探偵」シリーズが大人気でした。
もちろん私もこのシリーズの大ファンで、ほぼすべての巻を読み漁りましたが、本の終わりに差し入れている管理用の図書カードには、借りた児童の名前がびっしり書かれていて、大人気のために書棚がガラガラの時が年中あって、おそらくかなり早いペースで図書カードを刷新しなければならなかったと思います。
ちなみに、私の同級生だった女の子=Yさんの名前が、このシリーズ全巻の図書カードに記されてあって、彼女もまた江戸川乱歩ファンだった文学少女です(中学校で同じ演劇部員となる)。
話は少し変わりますが、私はこの小学校の図書室の雰囲気や管理システムが大好きでした。
図書室の管理すなわち本の貸し出しと回収の受付係は児童がやります。小学生の高学年になると、委員会制度があって、図書委員会のメンバーが交代で休み時間に受付係を任されます。
本を借りる人は、借りたい本に差し込まれている図書カードに学年とクラス、名前を記入し、それを受付に提出します。図書係は必ず提出されたすべての図書カードを学年及びクラス毎に整理(整理箱に分類)しておき、借りた児童が本を持って返す時、自分のカードを整理箱から取って、本と一緒に受付係に渡します。図書係は図書カードの借りた児童の名前の欄に受領判を押し、カードを本に差し戻し、本を元の書棚に戻します。これで一件了となります。ただし、本の痛みなどが発見された場合は、書棚に戻さずに修繕要扱いとなり、後日それを修繕することになります。
新刊本が入荷された時の仕事としては、まずその本のカテゴリーを設定し、カテゴリー別のシールを本の側面に貼り付けます。図書室の各書棚は、このカテゴリーシールによって区分けされており、それを見るだけで本の内容が把握できる仕組みとなっています。それから本の後面の中に図書カードを差し入れる袋を拵え、学校名の判を押し、新しい図書カードを差し入れます。そしてカテゴリー別の書棚に本を配置します。
図書委員会のこの図書係の仕事はたいへん忙しいものでしたが、面白いことに、中には図書係の古株がいたりします。
私が図書係をやっていた頃、古株のNくんは容貌も“おっさん”といった感じで、言うなれば古書店の主人だったわけです。私が入った時、彼は図書委員会を2年在任しており、既にベテランというか古参でした。昼休みの時間になって彼が図書室の受付の席に座ると、雰囲気ががらり古書店と化してしまうので不思議です。受付自体も横柄で、あまりはっきりと受け答えしません。しかし堂々としているので、一目置かれていました。
Nくんの話になると長くなるのでこのあたりでやめておきますが、ちなみに私が「少年探偵」シリーズで好きだったのは、『三角館の恐怖』と『時計塔の秘密』でした。これは何度も借りたことを覚えています。 「さらに図書室の話」はこちら。
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