バシェの音響彫刻修復―その経過報告

【届いたPDFをプリントアウト】
 去る8月23日、バシェの音響彫刻修復プロジェクトの経過報告について、東京藝大のファクトリーラボ(旧ファクトリーセンター)内のプロジェクト事務局より、メールでのPDF添付という形で、2通のプロジェクト・ニュースを送っていただいた。それは7月から8月分のプロジェクト進行状況の経過報告書となる。
 当ブログ「大阪万博と音響彫刻のこと」を書いたのは今年の5月末のことである。月日の経つのはめっぽう早い。1970年大阪万博の鉄鋼館に出展されていたフランソワ・バシェの「音響彫刻」十数作品を、茨城県取手市の藝大ファクトリーラボが修復・公開するプロジェクトを発足。その資金収集のためのクラウドファンディングが目標額を見事に達成したのは6月末のことであった。個人的には、その後のプロジェクトの動向がとても気にはなっていた。
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 今回届いたプロジェクト・ニュースを要約し、この場を借りてご報告したい。
 クラウドファンディングで集まった金額の総額は、3,348,000円。ミーティングによりプロジェクトの年間計画が決められ、大凡具体的な今後のスケジュールが記されてあった。8月には材料部分の分析調査や不足部材の調査、9月は基本部分の組み立てと不足部分の制作などがおこなわれ、10月には本組み立て調整が開始される。12月には全体の最終調整及び調律がおこなわれ、以後、コンサートやワークショップが取手校や上野校で催される予定らしい。
 先月の7月25日には、部材の調査や仕分け、ナンバリングがおこなわれた。過去の調査資料を元に、勝原フォーン、AOKIフォーン、TOMIKOフォーン、TAKAGIフォーン、YOSHIZAKIフォーン、MIYAMOTOフォーン、SAKAMOTOフォーン、KURUMA 1&2、VILLEMINOフォーンに分類。不明な部材、紛失した部材もあったようだ。いずれにしても、これらのフォーンがこれから修復されていくわけである。
 8月の材料部分の分析調査では、携帯型蛍光X線分析(XRF)計による測定と赤外線による撮影がおこなわれた、とある。フォーンの部材の蛍光X線による簡易分析では、フォーンの金属の部分はジュラルミンやステンレス、フレーム部分は鉄、弦の部分はステンレス線という結果。最終的な分析結果は約1ヵ月後とのこと。こうした素材の分析によって得られたデータは、今後修復される部材や欠損している部材の制作の重要な資料となるようだ。

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