坂井清昭の『アメリカの新商売』のこと

【これは面白い! 坂井清昭著『アメリカの新商売』】
 去年だったか一昨年だったか、KKベストセラーズの既刊目録を眺めていて、〈うむ? これは?〉と思う本に出くわした。坂井清昭著『アメリカの新商売 日本でやればすぐに儲かる』(1971年初版)である。何か面白い教養本はないかと探していたとき、偶然その本のタイトルを見つけたのだった。
 幸いにしてその本は、すぐに入手できた。直観してこの本は、1960年代後期の、アメリカの消費文化が覗けるのではないかという期待が膨らんだ。

坂井清昭という人

 大変失礼ながら、私はこの著書を入手するまで、坂井氏のことについて全く無知であった。これを書いている時点、まだその範疇を出ていない。以下、表紙裏の略歴を引用しておく。
《昭和三年・東京生まれ。明治大学法学部卒後、リーダーズダイジェスト日本支社、日刊工業新聞社を経て、三十九年経済評論家として独立。預貯金、住宅ローン、新商売など、庶民の経済生活を基盤とした利殖もので、テレビ、週・月刊誌その他に活躍中。「これから儲かる商売」「うまい儲け話」(いずれも当社刊)の新商売シリーズは連続ベストセラーとなっている。このたび、アメリカの新商売取材旅行を終えて帰国した》
(坂井清昭著『アメリカの新商売』より引用)
 略歴に添えられている写真を見てみると、人の好さがにじみ出た、五十路近いベテラン紳士の経済評論家――という印象を受ける。が、“昭和三年”生まれというと、あれ? と思った。
 私の父がちょうど昭和5年生まれで、1971年(昭和46年)当時、40代になりたてだったのだから、父より2年年上であった坂井氏の、71年当時の宣材写真ということになると、些か――老けているように思われる。写真写りがよろしくなかった――ということで片付く話でもあるが、それまでの並々ならぬ勤勉勤労の労というものが、お顔ににじみ出ているとするならば、決して不思議なことではないのかもしれない。うむ、野暮な疑念であった。
【経済評論家・坂井清昭氏の略歴】

日本の商売のタネ本

 『アメリカの新商売』は、彼が1ヶ月間アメリカに滞在し、サンフランシスコ、ロス、ニューヨーク、ワシントン、シカゴ、ホノルルをまわって得た商品や商法を、明朗な文章でルポルタージュした“商売本”であり、今の日本の混迷期におけるビジネスにも、一石を投じることができる、画期的かつ新明解な温故知新ともいえる本であるに違いない。
 これから私は、今後逐一、この本を取り上げて、中味の商品や商法を紹介していきたい。今でこそ日本でも当たり前と思われるそれが、70年代では全く新しいものであったり、誰も考えつかなかった商法だったりしていてなかなか面白いのだ。サブカルの極みである。
 なお、私は、さらに彼のベストセラー本『これから儲かる商売 極秘のネタがいっぱい』(昭和44年刊)を入手したので、今後、こちらの本についても紹介していくつもりである。乞うご期待――。

コメント

タイトルとURLをコピーしました