旅行

文学

羊羹と『草枕』と私

【何度も読み耽っている漱石の『草枕』】 風邪をひいていたから、この前漱石山房記念館を訪れた序で、神楽坂の“物理学校”に寄ることができなかった。悔しい。“物理学校”と言えば、『坊っちゃん』の坊っちゃんである。坊っちゃんは東京物理学校出身で、現...
写真・カメラ

ドビュッシーのClair de lune

【クラシック・レコード集「名曲鑑賞レコード」】 どんどんと子供の頃や学生時代の記憶が薄らいでいくような気がして、気が気でない。したがって憶えていることはどんどんと積極的に地道に書き留めていくしかない。書き留めておいたことが、後々の邂逅譚の補...
テレビ

『洋酒天国』と赤玉パンチ

【『洋酒天国』第22号】 子供の頃、洋酒に憧れ、大人になったらそれを絶対呑んでみたいと思う酒が2つあった。自宅の食器棚の高い所に置かれていた、緑色の酒=サントリーの“MIDORI”(メロン・リキュール)。そしてテレビ・コマーシャルを見て憧れ...
写真・カメラ

駅の伝言板

【昭和40年頃の国鉄古河駅(写真集より)】 夏休み近し――という巷の風情に少しばかり煽られて、子供の頃に読んだ児童文学をいまおもむろに手にしたりする。そうして不思議とその頃の思い出の風景が蘇り、手元の本を閉じたまま夢想したりする。あっけなく...
写真・カメラ

レンズへの惑溺

【ソ連製レンズJupiter-8の不思議な蒼さ】 1960年代のソ連製レンズ、Jupiter-8(50mm/F2)はなんだか玉が蒼い。この蒼さの魅力に取り憑かれて、まるで女性が香水や宝石に夢中になるように、私はこのレンズを光に透かして眺める...
美術

秘密を覚える年頃

【箱根で買った秘密箱】 ついこの前、Amazonで箱根名産の寄木細工を偶然閲覧していて、あるテクストに気づいた。〈21回仕掛けのひみつ箱ですが、さらに1回の隠し部屋があります〉。 あれは確か私が小学生の時、箱根への修学旅行の土産に自ら買った...
ゲーム

路上でハイ&ロー?

【テレビ画面がモチーフの「ハイ&ロー」ゲーム】《2人~4人で遊びます。テレビでおなじみの人生ゲーム ハイ&ローサラリーマンの人生は苦難の道のり。同時にスタートをきっても、社長になるのは1人だけ。はたまた平社員のままでも、お金をがっぽり貯めこ...
文学

『洋酒天国』と異邦人

優雅な旅行気分が遠のいて、新幹線のシートで時間つぶしに好きな小冊子を貪る、というありふれた楽しみを、ここ3年ほど、忘れてしまっている。関西へ向かう東海道の車中、窓から見える富士山をちらりと眺め、柔らかな斜光を腕に浴びて日焼けする、あのなんと...
スポーツ

ロックの犬

【ロックの犬】 それは日本がバブル経済真っ只中で、いよいよそれが崩壊を迎える直前の頃。 高校野球の県大会があり、全校生徒が大型バスに乗って数十キロ先の会場へと出発した(当ブログ「蛙の夜回り」参照)。 クラス毎に乗り分けられたそれぞれのバスに...
文学

漱石のこと〈三〉

「首縊りの力学」の話題に引き込まれて、先月から『吾輩は猫である』を読み耽っていると、年を明けた朝日新聞の記事に漱石の話題が掲載された。  《我が輩の寄稿である 漱石全集未収録 伊藤博文暗殺に「強い刺激」》(2013年1月7日付朝日新聞朝刊)...