上野公園

文学

ヘミングウェイを買いに東京に行く

【東京・JR上野駅公園口の風景】  関東のとある片田舎に住んでいて、昨今では駅周辺の界隈が荒んできて、ぽつぽつと馴染のショップがシャッターをおろしてしまっている。新しいショップがオープンすることもない。全体として、見るも無惨なくらいに、活気...
写真・カメラ

細江英公の『シモン・ある私風景』〈2〉

【細江英公『シモン・ある私風景』より荒川放水路・四ツ木橋付近にて四谷シモン】 前回からの続き。細江英公の代表的な作品といえば、1961年の『おとこと女』、63年の三島由紀夫の身体による『薔薇刑』、69年の土方巽がモデルの『鎌鼬』、84年の『...
ミュージアム

上野散歩―開くまで待とう奏楽堂

【工事中の旧東京音楽学校奏楽堂】  2月末。ずっと寒い日が続いていた折の、比較的穏やかな日和の正午。東京・台東区の上野公園を散策。ここは私にとって、学生時代から親しんできた公園である。  確か前回、この公園を訪れたのは、昨年の晩夏の頃だ。ち...
文学

冬牡丹への懸想

【水舎門をくぐれば東照宮。そしてぼたん苑】  真新しい新潮文庫で漱石の『行人』を読んだのは、“昨年”のこと――と思い込んでいて直ちにツイッターで確認したところ、それは間違いで一昨年の秋であったことに気づいた。    時間経過の感覚が歳をとる...
スポーツ

安井誠一郎像と校歌

【東京文化会館の安井誠一郎像】  上野の恩賜公園を訪れれば、東京文化会館のロビーで休憩がてら、おもむろにコンサートのフライヤー群を漁るというのが、その都度の自分の音楽的昂揚度を測るバロメーターになってしまっている。要するに其所は自分にとって...
ミュージアム

兵馬俑に出会う

【東博にて。『始皇帝と大兵馬俑』】  1月7日、“博物館に初もうで”に行った。私はほぼ毎年のように東京・上野公園の東京国立博物館を訪れる。  正月の特別公開である葛飾北斎の富嶽三十六景(凱風快晴、山下白雨、神奈川沖浪裏)と狩野山雪の猿猴図は...
ミュージアム

上野公園散歩の夢うつつ

【新緑の上野公園・さくら通り】  私は創作活動である作詞と作曲の構想を練るために、意識的に散歩をしたりする。歩くことで脳が活発になり五感が刺激され、それが作詞と作曲のためのエレメントとなることがある。私にとって東京・上野公園は、そのための最...
ミュージアム

東博特別展『インドの仏』

【特別展「インドの仏」】  桜の開花が見頃だった先週、東京国立博物館の特別展『コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流』を観覧。4年ぶりの表慶館観覧となった。  東博における「仏教美術」というと、カテゴリーとしては東洋館の印象...
コンピューター

桜―心ざわめく

【上野動物園前の桜の木】  この時期の上野公園では、恒例の“桜イベント”で盛り上がる。「東京・春・音楽祭」では多彩な音楽演奏会が催され、まさに心が桜色に染まる。先月末の土日では、私の好きなサン=サーンスの「動物の謝肉祭」を絡めた「動物たちの...
スポーツ

公園と上野大仏

【上野大仏の顔面レリーフ】  漱石の小説を読んでいて、“精養軒”という言葉にぶつかる。『三四郎』では、そこが一つの場面となっている。 《與次郎が勧めるので、三四郎はとうとう精養軒の会へ出た》 (夏目漱石著『三四郎』(岩波書店)より引用)  ...