『チョコレート工場の秘密』と6ペンス銀貨のこと
横浜
岸本佐知子さんのアピヨンポンポン
【『ちくま』2024年9月号より岸本佐知子連載「ネにもつタイプ」】 これを書かずにいると、夜も眠れなくなる――と思ったので、書いておくことにする。 翻訳家でエッセイストの岸本佐知子さんが、筑摩書房のPR誌『ちくま』で「ネにもつタイプ」を...
学生文芸誌『どん』と遊郭について
【千代田工科芸術専門学校・芸術課程の学生文芸誌『どん』】 私の母校の千代田工科芸術専門学校(東京・台東区)の学生文芸誌『どん』第15号(1992年春季特別号)については、鈴木清順監督の映画『夢二』の稿で既に触れた。この第15号には他にも、...
よみがえる『洋酒天国』―ニューヨークの酒場
【新しく入手した『洋酒天国』第2号。表紙は柳原良平】 『洋酒天国』の第1号から第61号まで全号踏破し、昨年の11月、感極まって「プレイバック―さらば洋酒天国、恋のソプリツァ」を書いた。既に私の手元には、蒐集したこれらの冊子群は一切無い。―...
思い出のmas氏―池袋のお馬さん
【私淑するmas氏が撮った「池袋のお馬さん」の複製画像】 思いがけず、《その出会いは、突然やってきた》――の書き出しで始まる文章をウェブで見たのは、もうかれこれ18年ほど前になるのだろう。そこで読み耽ったひとかたまりの秀逸な文章と、添えら...
プディング妄想そしてプリン三昧
【正真正銘、グリコのプッチンプリン】 芸能人の不倫ほど、食えないものはない。見苦しく、おぞましく、その非難の惨状を取り繕うのに必死な当事者は、家庭人としての体裁と社会への扉があっけなく閉じられようとする瞬間に、己の貧相と終始向き合わざるを...
お茶とサブ・カルチャーのアーティクル〈四〉
【中国茶の青茶に属する「武夷肉桂」】 前回からの続き。言わずもがな、お茶とサブ・カルチャーにまつわる話。 中国茶の「武夷肉桂」(ぶいにっけい)を取り寄せたので飲んでいる。このお茶は、福建省の武夷山が産地で、山肌の岩に生育することから岩茶...
レトロスペクティヴ―私立探偵・濱マイク
【映画『遙かな時代の階段を』のDVD】 もしこの映画を小学生の頃に観ていたとしたら、〈僕も私立探偵になりたいなー〉と本気で思ったに違いない。…な、わけねーだろ!と通りすがりの人にツッコミを入れていただきたいのであるが、林海象監督の1994...
永瀬正敏の私立探偵・濱マイクのこと
【雑誌裏の広告の鮮烈なる永瀬正敏】 カラカラに渇いた喉を潤すには、好きなサブ・カルチャーを一口ゴクリと飲めばいい。そのあとで、充分に時間をかけ、精進し、培養する。若かりし頃のそれは、同調した輩と時間を忘れつつ語り合うことが本当に愉しかった...
『洋酒天国』と温泉お風呂の話〈2〉
【前回から引き続き『洋酒天国』第57号】 前回に引き続き、昭和38年5月発行の『洋酒天国』(洋酒天国社)第57号の紹介。今号は「温泉」&「風呂」大特集。 この特集とは直接関係ないコラム、巻末の「東西バー通信」を読んでまず時代のノスタルジ...
My Love Is Your Love
【ホイットニー・ヒューストン『My Love Is Your Love』】 アメリカのヒップホップ系のミュージシャンであるワイクリフ・ジョン(Wyclef Jean)が、私と同い年の1972年生まれであるということを露程も知らなかったのは...