中村彝

ミュージアム

レンブラントを愛した中村彝

いきなり蛇足になるが、昨年の夏、梶井基次郎の「闇の絵巻」を読んでいて、私自身の幼い頃のある記憶が甦ってきたことがあった。  ――虫のざわめきが微かに聞こえる夜。踏切の前で停止する母の自転車の後部に乗っていた幼少の私は、ふと見上げた。踏切の電...
美術

檸檬とカルピスの包み紙

【梶井基次郎『檸檬』(角川文庫)】  筑摩書房の高校国語教科書『新現代文』で梶井基次郎の「檸檬」を読んだ。  この教科書は私が高校時代に使ったものではない。まだ10年前の新しい教科書だ。したがって「檸檬」のあちらこちらには、この教科書の以前...
ミュージアム

中村屋サロンと中村彝

中村屋サロンと中村彝についての本題に入る前に、新宿東口界隈についての個人的な思い出を記しておく。  中学生の頃――それは昭和60年前後――「トーキョー」と言ったら私の中で「シンジュク」であった。新宿がトレンドであった。というくらい、あの頃は...
ミュージアム

下落合のアトリエ

【新宿区立中村彝アトリエ記念館】  先週のこと、「新宿区立中村彝アトリエ記念館」を訪れるため、最寄りのJR目白駅を降りた。  青空が広がり、冬風はそれほどでもなく暖かかった。  目白通りを西へ、下落合三丁目バス停を目印に左折する、はずであっ...